MikiMickle

ノー・エスケープ 自由への国境のMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.5
製作アルフォンソ・キュアロン
監督・脚本・製作・編集はアルフォンソの息子であるホナス・キュアロン

国境を越え、メキシコからアメリカへと密入国した15人。車のトラブルによって徒歩を余儀なくされる。
足の遅速により二手に分かれてしまうが、先行していた人々は鳴り響く銃声によって、無残に殺されてしまう。
銃を握るのは、愛国心に溢れた一人の男。彼は、一人自警団の如く、または快楽的ハンターの如く、移民達を撃ちまくる。
生き残った主人公モイセスらにも執拗に迫ってくる男と犬。
その攻防戦を描いた映画。

砂漠地帯の、隠れる場所もほとんどなく、照りつける太陽の中での、非常にシンプルで無駄なものを削げ落とした追いかけっこ。
シンプル故に見える人間の本質。
美しく、壮大で、無慈悲な大自然。そこでは人間の命など、微々たるものにすぎないのかもしれない。
しかし、「生」を求め、必死に生きようとする主人公たち。

「生きろ‼生きろ‼逃げろ‼」と願いながら見ていた。

陸地での国境というものがない日本人にとって、移民問題というものは世界の他国と比べたら馴染みがないものであろう。(とはいえ、排他的価値観が日本人にもあるのは歴史的に見ても現状で見ても事実だが…)

しかし、トランプ政権によるメキシコ国境との壁計画は、全世界に移民排他問題を大々的にアピールした。
歴史的瀬戸際だと思う。それ以前と以後で、肯定と否定が更にハッキリと別れるものとなったものだと思う。

本作はそれ以前に制作されたもので、第89回アカデミー賞外国語映画賞メキシコ代表になった。
メキシコが、アカデミー賞という舞台において、世界に訴えたかった事がここにあるのだと思う。
それは不法移民の正当性では決してない。
ただ、人の命が、“移民”というだけでゴミのように消される現実を訴えているだけだと思う。

前述したように追いかけっこの手に汗を握るハラハラ映画なので、重苦しさや押し付けがましさはないけれど、
心に訴える余韻がある。

これは現実。
アメリカ・メキシコだけの話だけではない。世界のどこかで起こっている現実。

あとね、真面目に描いておいてあれだけれどもね、もうね、主演のガエル・ガルシア・ベルナルが有無を言わさず大好きなので、それだけで大満足というか…w はぁぁぁ…可愛いかっこいい…♥
MikiMickle

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