記憶にある限りでも、この映画を勧めてきた方はみな"いっちゃってる"人達で（世界と繋がってる系？）どんなもんじゃいと思いながら観たらそう来たかと。
言語が変われば、知覚する世界は変わる。マザー・テレサは「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから」と言ったが実は順番が逆なのである。言葉から思考が生まれると。当然と言えば当然で、そもそも言葉がないと思考ができないからだ。
僕もこれを肌で体感したことがある。22歳のときNYに留学した時だ。英語を話す時の自分と、日本語を話す時の自分で、人格が異なることを大きく認識した。日本人のあの日本人っぽさは日本語を話すから生まれるわけで、他にもスペイン語を話せるようになれば情熱的になれるのかなぁとか、もし自分を変えたければ、使用する言語ごと丸っと変えてしまえば思考を変えられると気付いてからは、随分生きやすくなったものだ。
映画では、人類はエイリアンと出会うことで新たな言語を獲得し、新たな視点で世界を知覚しはじめる。その言語は、現在私たちが持っている因果論的時間軸の流れではなく、過去・現在・未来が同時に進行している（言い換えれば過去現在未来など存在しない）時間軸を有している。
未来が見えるようになってしまった時、自分はどのような生き方をするのだろうか。SFでこの視点で描いたのは新鮮で興味深かった。
