ジャッキー

メッセージのジャッキーのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画の最後のシーンについて、多くの人に間違って解釈されているのではないかと考えている。
最後のシーンで主人公はイアンからのプロポーズを受ける。ここだけ見ると多くの人が「夫と娘を失う事を分かっていると知りながらその未来を選んだ」と考えると思う。自分も最初はそう考えて良いシーンだなと思ったが、実際は真逆ではないか?と考えている。
というのも宇宙人は3,000年後に人間に助けて貰うから今人類に武器を授けると言っている。これは恐らく武器を与えないと3,000年後までに人類が滅びるからであろう。与えなくても大丈夫だけど助けて貰うからお礼に...。とかではないと思う。であるならば未来を知っていれば未来は変えられるという事になる。
主人公の話に戻ると、主人公は未来が見えるのだから息子を生むなり不幸な未来を避ける方法はいくらでもある様に思える。別に結婚する/しないの二択しかない訳ではなくないか?それを選択していないのを見ると自由意思がないのか?とすら思ってしまって、実際劇中で宇宙人が本能に則って行動していて意思という概念がない可能性について言及している。人間が自由意志を持っている保証なんて無いので...。
なので、プッチ神父の考える理想の世界の様に「未来を知る事は出来るが、それを変える事は出来ない」と考えた方がつじつまが合う気がする。であるならばヘプタポッドのアボットが自身が死ぬ事を分かっていながら地球に来た事なども納得出来る。
それを踏まえると最後のシーンを「変えられない辛い未来が訪れる事が分かっていてもそれを受け止め、生きる。」という風にも解釈出来る。

もちろん自分にとって都合の良い未来にする事が既に「人類的」で、「無時間的」思考においては未来が確定していないという事とその内自分が好きな物を選ぶという事は別、という可能性も考えられるが...。

それと宇宙人の言語が無時間というのが具体的にどういう事なのかという事の意味が分からないので、そりゃそう言うだけなら簡単だろうよ、としか思わなかった。だって三千年後って言ってるじゃん。時間の前後関係はもちろん認識している訳で、ピダハン語とかの時制がない言語とは話が違う。であるならば具体的にどういう言語的特性を持っていて、それがどう認識に影響しているのかという事をもう少し説明しないとサピア=ウォーフ仮説の超拡大解釈だなと感じてしまう。

昔から悩まされている幻覚、フラッシュバックの様な物が実はフラッシュ"フォワード"でそれが未知の言語を解明していく作業と実は関係していた、というプロットツイストは面白いと思ったし、ビジュアル/オーディオの迫力とかは映画館で見ておけば良かったと思わされた。