ヒラッツカリー

リメンバー・ミーのヒラッツカリーのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.1
少年の成長と家族愛のお話。
メキシコの使者を讃えるお祭りからインスピレーションを受けたもので70%はガイコツだらけ。けどそのガイコツが愛おしい。

さて、関係あるようでない自分の話をしますねw
父がこの世から去り今月でちょうど三回忌。
僕は父が嫌いでした。小さい頃から。
短気で口が悪く家の中で部が悪くなるとすぐ母に怒鳴り散らし、テーブルをひっくり返すわ、茶碗マグカップを投げてくるわ。そういう様を幼い時から見ていると自然と嫌いにもなります。
僕の家族は五人。父母、僕が長男、弟二人。いつも夕食は揃ってから食べていました。
普通の家庭なら何気ない会話をしながら食事をするもんでしょうがうちの父は僕らの学校で会った事や、友達と遊んだ事の話を聞こうともせず。
母が気を使って「今日は何があったの?」なんて当たり前のことを聞いて来ても父が「うるさい!テレビが聞こえんやろうが!馬鹿が…」
と言うので自然と僕ら三兄弟はミュートにせざるを得ませんでした。
多感な時期になっても変わらず。
なおの事、ザラザラな雰囲気を父は醸しだすようになります。
自営業だったので、お金面でいつも苦労していたようです。
なぜ自営業かというと、他人と仲良くチーム一丸となって、上司の言うとおりに動くことが何より嫌いだからです。
そんな父を見たことがありません。
心底嫌いな気持ちは20歳までは消えませんでした。
僕が大人になってから父がどれだけ苦労して来たのかをなんとなく理解し始めてから、その気持ちは薄くはなってきています。
そういえば、こんなこともあったな、あんなことで笑わせてくれたよな、なんて、少しでも父との楽しかった思い出を振り返ったり。
どちらかというと、というかテレビが好きで映画が好きで音楽が好きで。
僕と共通点が多いといいますか、完全に影響を受けているのは間違い無いのです。
そんな人を心底嫌いになんてなれないな、と亡くなった後に気付いて。
もっと話できたな、とか。
もっとなにかしてやれたことあったな、とか。
後悔なんてしても一緒なんですが。
もっと深い話をすればまだまだ止まりませんが、この辺にしときます。

親父、肉親、なんて人は"一人"しかいないわけです。
どんなに嫌いだろうが親は親なのです。
今作を見ていて、家族との絆、愛情と言うのを暖かい色彩とアニメの表現力と画質の美しさ(特に水を写したシーンとココばあちゃんのしわが素晴らしい)、なによりもギター中心の劇中歌に惹かれ、ラストにはボロボロと涙をこぼしていました。
ピクサーは本当にいい映画ばかりです。
素晴らしい。万人におススメできます。

今度、三回忌なので納骨しているお寺へ250キロを車で向かいます。
その向かう道中も、手を合わせる時も、父との思い出と無骨だけど下手な愛情を思い出して感謝とこれからの自分の話もできたら、と感慨深く思いました。
いいきっかけになったなぁ。
ヒラッツカリー

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