Sugi

リメンバー・ミーのSugiのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.4
主人公の少年ミゲルにとっての憧れのスター、デラクルスが残した名曲「リメンバー・ミー」に隠された秘密が解き明かされ、その曲が最後に届くべき人の元へ届いた時、素晴らしい景色を目の当たりにする。音楽の力を改めて感じた。

作中のどんでん返しポイントがかなり意外で、全く疑いもしないところに転がっていたため個人的には非常に驚かされた。ピクサーが誇る圧倒的なアニメーションクオリティに魅了されながら、家族愛・ご先祖愛ストーリーも存分に楽しめる一作。

人物の肌感がものすごく精緻に描かれており、ミゲルが屋根裏部屋で家族に隠れてデラクルスのビデオを再生し、テレビに釘付けになっている時に映る彼の肌は薄橙単色ではなく、ちゃんと箇所によって色の濃淡が分かれており、肌の表面の黒子ともう少し深層にある黒子とで色味が違ったりなど、作画のクオリティに単純に感動した。
色味の違いで言えば、死者の世界を彷徨うミゲルが乗った電車の窓から見えるタワーと、窓が開いて直接目にするタワーの色が若干違っていたシーンがすごく印象的で、リアリティへの緻密なこだわりが非常に感じられた。

映画の前半は正直普通だが、後半は掟として禁じられた「音楽」を通じてより家族間の絆が強まっていき、さらに音楽的な要素も増え、感動シーンもラストに近づくにつれて続出してくるので、とても盛り上がった。クライマックスの「リメンバー・ミー」は言わずもがなの涙ポイント、ミゲルとヘクターのデュエット「ウン・ポコ・ロコ」も心躍る楽しい曲ですごく良かった。

本作ではミゲルの曾々祖父まで登場するが、さすがにその代のおじいちゃんやおばあちゃんの顔や名前まで把握するのは今現代の子供たちにとっては難しいことだ。だからこそ、死者の写真を飾ったりお供物を供えたりする理由をこういった映画を通して考えてもらうのはすごく大事なことだと思う。この映画の脚本では、ミゲルの亡くなった親族たちは全員すごく個性的で心優しい人物として描かれているため、彼らに死者の世界でも楽しく幸せに暮らしてほしいと心から願えるし、忘れないように思い出として語り継ぎたいと感じられる。キャラクターへの感情移入が小さい子でもスムーズにできる工夫が凝らされている点が非常に良く出来ていると感じた。

個人的にディズニーの中でも上位に食い込む好きな作品になった。
Sugi

Sugi