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1日1ドルで生活のISHUのレビュー・感想・評価

1日1ドルで生活(2013年製作の映画)
4.0
アメリカの大学生が授業でグアテマラの貧困について学んだのをきっかけに、実際に現地へ行って一日一ドルの生活を体験した様子を追ったドキュメンタリー。

自分たちの生活だけではなく、滞在した集落の人々がどのようにして暮らしているのかをインタビューした映像も交えてまとめられている。

毎日収入があるわけではない

1日1ドル、といっても、毎日収入があるわけではないので、そのあたりも再現するために滞在期間中の総額をランダムに分けてくじを作り、毎朝引きあてた額が使える、というしくみ。

1ドルの日もあれば、6ドルの日もあり、またもちろんゼロの日もある。ゼロを連続で引き当てた日にはかなりつらそうな生活だった。

初めは見よう見まねで生活し、案の定体調を崩してげっそりしたりもしているけれど、現地の人達との交流の中で少ない資金でいかに栄養のあるものを食べるか学んでいく。

時には助け合いも必要

食料を市場で買うだけではなく、自分たちで作物を作ってそれを商品として売って収入を得る方法も考案している。

しかし最初はくじで引いたお金だけでは足りない。国の銀行では細かい証明書がないと借金も出来ない(この様子も撮影されている)

機織り機を買って生計を立てる女性や、学校に通ったり。壊れた屋根を修理したり。あとほんのすこし資金があれば、もう少し頑張れる。そんな人達の為のコミュニティの相互補助のローンシステム等も紹介されている。

それだけではなくて、彼らには毎月共同でお金を出し合って、例えばかまどを作ったり、まとまった資金が必要なことに各家庭順番にお金を使っていくシステムもある模様。

貧困て、なんだろう

大学生のドキュメンタリーなので、お金がないって大変!というのを記録した映画だろうなと思っていた。

もちろん、カロリーが足りなくて体調をくずしたり、感染症にかかったりもする。だけどそれよりも後半はこういった貧困地区の人たちがどのようにして支えあっているのかがフォーカスされている。

貧困、と言えど、映像に映し出される人たちははにかみながらも笑顔を向けている。お金を借りるシステムは成功した人達しか取り上げられていなかったけれど、そういうシステムがあることで勇気づけられる人がたくさんいるのは事実なのだろう。

一方で、同じ一日一ドルでもこういった相互補助のコミュニティがない場所だったら、と思うと絶望的な気持ちになる。それは多分、一日一ドル以上の生活でも同じことなのではないかな。

困ったときはお互い様。困ったときに助けを求め、自分に余裕のある時は救いの手を差し伸べる。それが当たり前にできるコミュニティ。最低限それができたら貧しくともなんとかやっていけるのではないか。

お世話になった人々に収穫した野菜を分けて、お礼を言い、青年たちは村を後にする。

56分と短いし、いろんな人に見て欲しいドキュメンタリー。残念ながらdvdは出ていないようだけど、NetflixやAmazonプライムビデオで観られます。
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