ひろぽん

溺れるナイフのひろぽんのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
3.0
雑誌のモデルとして中高生から絶大な支持を受けていた夏芽は、ある日突然、父の故郷の浮雲町に引っ越す。東京から遠く離れた田舎町に刺激を感じず落ち込んでいたが、土地一帯を仕切る神主一族の末裔で跡取りの航一朗と出会い、強烈にひかれていく。彼も夏芽の美しさにひかれ、2人は気持ちを通わせるが、彼らの運命を変える出来事が起きる。傷ついた2人は再び輝きを取り戻す事ができるのかという物語。


金髪で鋭い尖った目つきにスラッとした細身の体型で、性格は傲慢で自由奔放なSっけのあるコウ。鋭利な刃物の様に鋭く尖り、人の心を貫く閃光の様な彼は夏芽を振り回す。

どことなく寂しそうな表情を浮かべ、今にも儚く消えて無くなりそうな透明感のある美少女の夏芽。モデルとしても活躍するが満たされず、いつも夏芽はコウを追い続けている。

中学生の時はイモくさい陰キャだった上白石萌音演じるカナが、高校に入ってからカーストが上がって落ち目の夏芽に調子に乗って上から話しかけるあたりがリアルだなって思う。

終盤の火祭りの場面から、現実と非現実が入り乱れ何がなんなのか分からなくなっていく。


ストーリーは結局のところよく分からないまま終わってしまうのだが、透明な海やキラキラ輝く水面などの景色はとても美しい。主演の小松菜奈と菅田将暉の透明感のある2人も美しく輝き、映像を観ているだけでも惹き込まれる独特の魅力がある。

海に入っている小松菜奈と菅田将暉の描写は濡れているのに絵になるくらい素敵だし、彼らのキスシーンはエロさを通り越し、アートを見ている様な感覚になる。キラキラした目線や独特の雰囲気は彼らにしか表現できない。

無愛想で何を考えているか分からないコウよりも、いつも笑顔にして元気を分け与えてくれる大友の方がヒーローのようで格好良い。観ているこちらが恥ずかしくなりそうなくらい吉幾三を全力で歌い東京へ送り出してあげる優しい姿が泣きそうになるくらい良かった。バッティングセンターでの青春を感じる微笑ましい光景も然り。

荒削りな10代の女の子だと絶対に幸せにしてくれるのは分かってるけど良い人止まりで終わる安定の大友よりも、危うい刺激的なコウの方が好きなんだろうな。

小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音の4人の役者の演技力が高いおかげでずっと観ていられる。

ストーリーを楽しむというより、綺麗な映像を楽しむには良い作品。レイプシーンとかあって胸糞悪いから決して明るい気持ちにはならない。この作品は菅田将暉と小松菜奈の2人だけの世界って感じがする。重岡大毅の関西弁は聞き心地が良いし、演技力も高くてびっくりだしキャラも適役で本当に良かった。
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