キンキン

溺れるナイフのキンキンのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
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 原作は未読。普段ならこういった少女漫画の恋愛映画は避けているのだけど、本作に限っては山戸結希監督なだけに見逃せなかった。封印中の処女作「あの娘が海辺で踊ってる」で好きで、実際にロケ地の熱海にも足を運んだりするぐらい心を奪われた。
 ただ、前作の「5つ数えれば君の夢」が面白くなかったので、本作は若干の不安を抱えながら鑑賞。

 もうね、男なのに小松菜奈演じる主人公・夏芽と同じように恋する気分になる!男にね。キラキラしてる。処女作でも、BLっぽいところがあったのだけど「これか!これが、女の子がときめく気持ちなのか!」とドキドキしている自分がいるわけで、「女の子ってこういうのが好きなんだな」って一概には言えないが、そう思うほど頬を撫でてくる。
 だから、菅田将暉か重岡大毅の三角関係の中「俺ならどっち?」なんて考えるわけで、「んじゃ、俺が金髪にしたら菅田将暉みたいになれるか?」と頭の中で妄想が始まります。無理でしたね。過去に、金髪にしたら職質されたし。じゃ、黒髪は?小学生に不審者扱いされて走って逃げていかれたことがありますもん。3回も。無理じゃん!と、鑑賞中はときめきと同時に悲しくもなっていました。火祭りのシーンのように、この過去を掻き消して欲しいですよ。
 話は逸れましたが、ここの菅田将暉がもうかっこいいのなんの!ドキュメンタリーのように撮っていて、「俳優・菅田将暉」と言わんばかりの男らしさ溢れていて、熱い炎をたぎらせてくれる。そりゃ惚れるわ。

 で、菅田将暉と対照的な重岡大毅。あっちがヤンキーなら、こっちは好青年。子犬。悲しい時にそばに寄っては、励ましてくれるあの感じ。バッティングセンターでああゆう風に元気をくれる感じとかさ、恋人じゃなくても友達として欲しくなるよ。
 そして、カラオケ。山戸作品ではよく出てきますね。気持ちを吐き出す演出として。残念なのが、ここ。

 原作ありきだと、こういうのって難しいよね。十人十色の本作があるわけで、熟読中に脳内ではいろんな音楽やイメージが駆け巡っていると思うんですね。だから、本作でやたらめったら音楽が流れまくるのがうっとおしい!もうちょっと、この二人の時間を堪能させ…デレーン、みたいな。そういうのが多くて、カラオケの選曲がまさか過ぎて…。

 ああああ、もう!!そんな事も忘れてバイクで走り去っていきたい。でも、職質されたり、不審者扱いされる自分には、こんな神秘的な恋愛をないだろう。それを疑似体験させてくれる本作。音楽だけが心残りだ。
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