このレビューはネタバレを含みます
すんごくすんごくすんごくよかった
彼らが経験していることに対する憧れも、幸福感も、虚脱感も、ぜんぶぜんぶ一緒になって残った。
重岡くんの初めての映画だからだったけど、こんなに長い間期待して、緊張して観た映画ははじめてだった。
はじまる前、はじまってしまうのが寂しくてもったいなかった。
はじめての経験と、幸福と、闘志をもらった。
終わりかたは、あれでたぶん正解。それ以上観たくない、続きも要らない、彼らがああやって燃えていて、溺れていって、浮かんでこようとしていた、あそこで終わってくれて良い。
コウちゃんが泣くのが、いい。自分を(自分の一部である夏芽を)守れなくて、かっこつけきれなくて声を出して泣いてしまうのが、いい。人間ってそうだと思うし、その後逃げてしまうのも、再び交差した後泣いてしまうのも、やりきれなくて、いとしい。
大友が、夏芽のつらいシーンに立ち会わないのも、すごくいい。
彼だけは夏芽を、屈託なく励ましてあげられる存在でいなきゃならなかった。彼の前だけでは、夏芽は普通の女の子になれたから。彼が、夏芽を喰らうカリスマ性から解放してあげられる唯一の存在だった。
夏芽もコウも、自分のカリスマ性に喰われていった。のだと思う。そして、そんな自分をも受け入れて生きていけるように、なるのだと思う。