れーちゃん

葛城事件のれーちゃんのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.0
亭主関白な昭和の男、葛城清は親から継いだ店があり、妻と2人の子に恵まれ、マイホームを建て、自身の望む「家庭」を作ろうとがむしゃらに生きてきた。
勉学に勤しむ長男保に期待するが、保は人間関係構築能力が乏しく、社会と馴染めないことを誰にも言えずにいる。
そんな清の妻であり母の信子は常に清や子供の顔色を伺い、自分の気持ちを押し殺しながら生きてきた。

ある日、多動症のような落ち着きのない性格で、いつも兄と比べられるなど清に特別厳しくされてきた弟・稔が無差別殺人事件を起こしてしまう。

本作は殺人事件を起こしたその後ではなく、殺人事件に至った経緯を、葛城家それぞれの人生と共に描いていく。


「これが原因で全てが起きたのではないか?」と思えがちなのだが、登場する人物それぞれが自分のことに必死で他人を気にする様子がなかったり、常に闇を抱えている。
自分自身や家族と向き合うこともなく、誰かに相談することもなく、ただ毎日を過ごすばかりなのである。

家族といえども他人であり、何を言っていいわけでも何をしていいわけでもない。
一人一人の人権というのを尊重したいところではあるが、それが犯罪者でもそうなのか?

さまざまなテーマが含まれていたように感じたが、田中麗奈演じる星野順子という謎の女が全てをかき乱していた。

あの人は一体なんのために出てきたのだろうか、言いたいことはわかるけどイライラしかしなかった。

メッセージ性がちょっと分散してしまっていたのが残念だった。
作品を通して言いたいことはなんとなくわかった。
れーちゃん

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