私は好きだ。
この映画を観れて本当に良かったと思う。
クソがつくぐらいの昔ながらの父、葛城清を軸にバランスを崩してしまった家族を生々しく描いた作品。
この作品は、描写がほんとに生々しい。
苛つく程に嫌らしい描写が沢山ある。
父、清の罵倒から始まり、妻伸子のうつ病を感じ取ってしまう程の空虚っぷり。
兄、保の徐々に弱っていく様と、稔のダメなガキっぷり。
全てに無駄が無く、あるあるを凝縮した家族。
みんなが幸せを思いながら、どこかでボタンのかけ違いをしてしまった。
真実を知りながらも蓋をしていた。
結果、稔がトリガーになってしまい狂っていく。
清の「3人殺したら家族になってくれるか!?」というセリフ。
伸子の「こんな物が最後の晩餐だったら悲しいね」というセリフ。
保の煙草をポイ捨て出来ない描写。
これらに込められた背景を考えると辛くて、辛くて。
どのシーンを切り取っても、胸がしめつけられる。
今作で一番恐ろしかったのは、田中麗奈さん演じる星野順子。
稔と獄中結婚をする順子が、一番異様で偽善で受け付けなかった。
「稔さんの為になる!」って言い切ってしまうあたり、怖過ぎる。
演者たちの演技もまた格別だった。
ナポリタン食べるシーンが、妙にリアルで、本当に葛城という家族がこの世にいるんだ、と思った。
ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★★★
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ★★★★★
感情移入・共感 : ★★★★☆
cc/俺が一体、何をした。