ハリボ

葛城事件のハリボのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.3
【2020年14本目】

絶望するな、人間は人間です。

すごく怖い映画。
どこにでもある家庭、誇張なしの家庭。
どこにでも潜む闇、度外視できない罪。

子供を持つ親には、等しく業を背負わせされる。
それは、自分の遺伝子を半分受け継いだ、自分のような存在を育てるという現世における業である。
自分の半身ともいえるような存在の成長は、良くも悪くも自分の影響を受ける。

家族は運命共同体。
悲しいことも楽しいことも共有できる、だから家族っていいよねっていうテーマのエンタメコンテンツは山ほどあるが、これはそのアンチテーゼともいえる気がする。
不幸すら共有してしまう、だから、お互いいい人間であろうね、そう思わなきゃ、本当に病んでしまう、、、笑笑

田中麗奈演じる登場人物は、地上から舞い降りた天使だったのだと思う。
人間は善意に応えると証明したかった天使なのだと思う。
安心してください。人間は善意に応えるいきものです。じゃあ、善意に応えないものはー?

家から出ないもの、家庭から独り立ちできないもの、家業を継ぐもの、悪しき日本の風潮ともいえるのか、家族という縛りが役者陣の迫真の演技にこれでもかと表れていて恐ろしかったです。

塗りつぶしがきかない一人一人の人間、
隠れているのは、業か不幸か。
ハリボ

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