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ハッピーエンドのcigaretteのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.6
ハネケの ひねくれ映画を鑑賞。
いつものように、売店でポップコーン買ってしまったけど、そうだった!静かな映画だと、食べるチャンスがないんだよねーw
静か故、ちょっと中盤、眠気も来たけど、内容は、あちこちエッジが効いていて、面白かったですよ。

裕福で円満な家庭に見えても、個人にスポットを当ててみれば、それぞれが秘密を抱えていて、危ういバランスをたもちながら、家族をやっている。しかし、小さなほころびが亀裂になり、崩壊がおきていく。
そんな内容の映画でした…。多分w

だって 内容を追わせるというより、断片映像から 目で見たものを感じろ!な作りなんだもん。

携帯動画、街の定点カメラ、チャット画面、などなど、独特のカメラワークを駆使して、感情ラインから一歩引いた視点で訴えかけてくる手法。

冒頭の、工事現場の定点カメラが捉えた、豪快な崖崩れシーンが、まんま家族を象徴してたのですね。
実験的で挑戦的なハネケらしい演出。

ストーリーも、演出も、視聴者に不親切な映画ですよ。与えられた情報を、感性を研ぎ澄ましキャッチし続けなければならないのです。中々に疲れる映画。

つーか、何よりも ハッピーエンドなんて、タイトルが、ひねくれている。
こんな世の中とバイバイできる幸せ?
自分の信念が実現できた幸せ?
でもアンハッピーではなく、たしかにハッピーエンドを感じられるラストなんだよねー。

余談:この日、立て続けに 末井昭氏の自伝映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」を見たのですが、主人公は幼少期に母親が恋人とダイナマイトで心中した事を、大人になってからは、むしろポジティブに捉えて、自分のウリにまでしていた。
死はネガティブな要素だけじゃないのかも。そんな風に 考えてしまう日でした。
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