アイスランド辺境の村に暮らす羊飼いの老兄弟が、絶縁状態から不器用にも再び交流していく姿をユーモラスに描いた作品。
隣人ではあるが口もきかない2人は、過去や思い出を共有しつつ互いに大きな壁を作っている。
そんな価値観や性格も正反対の彼らが、疫病という惨事に直面したことをきっかけに、再び繋がりを持っていく。
何より愛する羊のために。
羊と人間の関係のなかで物語は展開するが、その姿を通して人間の愛や尊厳を普遍的に描いていく。
コメディチックではあるが、それ以上に切なく奥深い感情が流れる。
プリミティブな格好で締め括られるラストカットには、後悔や博愛、尊厳といったものが深く感じられる。
ユーモアもウィットに富んでいて、トラクターで病院まで運んで落とすのは笑った。