ヒムロ

フリーキッチンのヒムロのレビュー・感想・評価

フリーキッチン(2013年製作の映画)
2.5
内気な高校生ミツオは母キョウコと二人暮らし。
幼い頃にキョウコが父とその愛人を殺して料理してからは、毎晩食卓には人肉が並ぶ。
ペットショップの店員であるカナと出会い、惹かれていくと同時にこの狂った日常から抜け出したいと思うようになっていく。


原作は福満しげゆきさんの「娘味」という漫画らしいが未読。

学校ではイジメられていて、家でも母親に逆らえないミツオという感じなので後半にはミツオの成長的な逆襲があるのかと思いきや流されるばかりでびっくり。
そしてそのままなんとなくこういうオチになりそうだなーと思っていたところへ着地してしまい拍子抜け。
延増静美さん演じる母の笑顔が最高なので絵が持っていたが、特段90分近くかけて実写化するほどの作品だろうかと思った。

親子のシーンはたっぷり間を使って邦画らしくいいシーンになっているのだが、「そこで殺して血は!?」「どう運ぶ!?」「叫べば聞こえるだろ!」と言いたくなるシーンだらけなのでリアリティを削ぐ。
まぁそれを言い出したら何年殺し続けてるんだって話だから置いておいて…。
ともかくカニバリズムをテーマにしている作品なだけあって、食事シーンの音と会話がどのシーンも気持ち悪くて秀逸。
人肉というバイアスがかかって見るだけでどうして作り物だとわかっていても気持ち悪く感じるのか、その点は本当に見事。

成長物っぽくない感じがメッセージ性が薄くて個人的には好きな要素でもあるが長編には向いていないと思う。
世にも奇妙な物語の1本として実写化されたら尺的にもオチ的にもかなりしっくりきそうな作品だった。
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