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ジャニス リトル・ガール・ブルーのdendohのレビュー・感想・評価

3.5
ドキュメンタリー映画。ジャニスの家族や関係者の証言、当時の映像や音源を素に、ジャニス・ジョプリンの生涯を描く。従って『楽曲を聞いたことある』レベルで良いから、多少なりとジャニス・ジョプリン知らないと楽しめないと思う。

勝手に『酒!ドラッグ!セックス!イエーイ!!』とか言いながら、太く短く生きて死んだ陽キャのミュージシャン...みたいな先入観を持っていた。ただ行動はともかく、性格は完全に間逆な人物像だった。

ウーマンリブ絡みのエピソード、中退ながらも大学に通った経験がある事から、思ったよりも知的な人物であるという印象。

性に奔放というイメージはあったが、バイセクシャルであるのは知らなかった。映画中でも女性の交際相手が登場する場面があり。

故郷を出る前は男っぽい格好で、男友達とつるんでいた。ミュージシャンになってからも、メンバーは男性ばかりで、ウーマンリブ活動家から批判された。この辺はどうなんだろう? 女性の恋人はあり得たが、友人や仕事仲間としては女性を排斥していたということなのかな? それともやはり幼少期の体験のトラウマで、同性を遠ざけていたのだろうか。

故郷を捨てたものの、家族仲は良かった。でも成功してから両親の夫婦関係はギクシャクしていたらしかった。それに対するジャニスの心情は分からないけど、思う所はあったのかも。

死ぬ直前はドラッグを止めていたという話も初めて知った。一度は止めたが、それでも依存症が抜けきれず、孤独に耐えきれず、最期に手を出してしまったのか。
ジョン・レノン(とオノ・ヨーコ)のインタビュー映像も印象に残った。日本では薬物使用者は犯罪者扱いだが、海外ではあくまでも病人として扱うと聞く。

...で、最後の方の関係者インタビュー、ちょっとジャニスを神格化し過ぎでは。早逝したミュージシャンはみんなそんな感じなんだろうけど。
ジャニスも人間関係に悩んだ一個人だった。高校時代はいじめ、大学時代はブスコントップに選ばれてショックで退学、故郷を出てからはクズ男の影響でドラッグを始め、バンド関係者ともうまく行かずに脱退を繰り返し、久々の同窓会でも馴染めずに孤立する。恋多き天才ボーカリストというイメージとは裏腹に、心根は繊細で、生涯孤独な人物だったんだなぁ。
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