リーアム兄さん

ガタカのリーアム兄さんのネタバレレビュー・内容・結末

ガタカ(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【好きなセリフ】
ヴィンセント「何が不可能か君にはわかるはずだ。欠点を探すのに必死で気づかなかったろ。こんな言葉は慰めにならないだろうが、可能なんだ。」

遺伝子検査によって「適正者」と「不適正者」の識別がされるようになった近未来。ヴィンセント(イーサン・ホーク)は信仰心の強い両親のもとに自然出産で産まれた。生まれつき身体が軟弱だったヴィンセントは宇宙開発を進める企業「ガタカ」に入り、宇宙飛行士になる夢を抱くが、その体質故に「不適正者」となってしまったため、「ガタカ」の清掃員として働いている。それでも夢を諦めきれないヴィンセントは他人のDNAを斡旋するブローカーに会い、事故によって車椅子生活を余儀なくされた元アスリートのジェローム(ジュード・ロウ)を紹介される。ヴィンセントはジェロームの血液や髪などをもらい、ガタカの選抜試験を通過、宇宙飛行士としての訓練に参加できるようになる。DNA検査はクリアできるものの、「適正者」としての基礎体力などが備わっていなかったヴィンセントは日頃の体力づくりにいそしみ、「不適正者」でも「適正者」に劣らないように努力を重ねる。そしてヴィンセントは宇宙船タイタンの宇宙飛行士に選ばれ、宇宙へ飛び立つことになる。

舞台設定や背景が完璧に考案されているSF映画を代表する作品。

遺伝子操作によって完璧な人間を産むことができるようになった未来で不完全な人間が努力を重ねて、その定めを凌駕していくというストーリーは、宇宙飛行士という壮大な目標を持っていなくても勇気づけられるものがある。

あらかじめ完璧な状態の人間などおらず、産まれた後にどう人生を送るかによってその人の本当の人間性、タレントというものが決まる。
しかし人間は産まれた瞬間から自分の体質や両親の生活環境など、自分と他人を比べ、劣っているところだけを見つけてしまう。

作中で「適正者」のジュロームは、「適正者」ながら銀メダルしか取れなかった自分を恥じながら、宇宙飛行士に選ばれたヴィンセントを讃える。

この世には恵まれた、もしくは恵まれていない環境などなく、ひとりひとりが今いる環境でどこまで逆境に立ち向かえるか。それが重要だということに気づかせてくれる映画だった。