Hikaaaru

ガタカのHikaaaruのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
5.0
まずは主要キャストが惚れ惚れするぐらい美しいし、無機質で整然としたガタカの空間がとても近未来という感じがして、どこを取っても絵になる。スーツで宇宙に行ってしまうのもスタイリッシュだし、恋愛もスタイリッシュに描かれる。イーサンホークとユマサーマンのあるシーンが反復されることによって、「遺伝子によって能力はある程度決まっているかもしれないが、それに対してどう生きるのかが大事なんだよ」というお互いに対しての、そして私達に向けての優しいメッセージが伝わってくる。同時に、直接的に言葉にすることなく「そして私はあなたの遺伝子ではなく、人間性や心に惹かれたんだよ」という愛の告白シーンにもなっている。この作品だからこそ意味を成すシンプルな愛の伝え方、テーマの提示法が洒落ている。
科学は人間の心まで操作できない。自由な心がある限り、人間の可能性はどこまでも広がる。そんな前向きなメッセージがありながらもジュード・ロウの存在が科学の進歩に対する危惧、未来への警鐘をあらわしていて、ただのハッピーエンドで終わらないところが良い。最後の決断にはマイケルナイマンの曲と相まって切なさが込み上げる。
髪の毛1本だけで誰でも身元から能力まで分かってしまう、そんな未来はまっぴらです。
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