スギノイチ

ゴジラvsコングのスギノイチのレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.5
話は相変わらずひどく、人間パートの陳腐さも尺の取り方も前作と大差ないが、進歩しているのは「怪獣バトルの最中にインサートしない」こと。
ひとたび人間パートが始まると我慢の時間ではあるものの、怪獣バトルは怪獣バトル、人間パートは人間パートで纏められていたのでストレスは少なかった。

5ch等で断片的にネタバレを食らってしまっていたのでメカゴジラの登場自体は知っていたが、ロボット感ゼロのモーションとダサいデザインはかなりガッカリさせられた。
パイロットである小栗旬のピスタチオみたいな白目に至っては失笑でしかない。
(やたら番宣をしていた割に浮かない顔をしていた理由がわかった)
ただ、あのゴジラがサポート役を選んだというのが燃えるのだ。
平成以降のゴジラはやたらに”孤高の怪獣王”を気取るが、昭和ゴジラがジェットジャガー、キングシーサー、ゾーンファイター辺りと組んだ時は、相方をサポートして華を持たせることも多かった。
今回のゴジラ、そういうところも昭和っぽくて好きなところだ。
(こういうのを前作のモスラやラドンでも見せてほしかった)

実質、今回はコングが主役になっていて、そこが不満のゴジラファンも多いようだが、そこも特に不満はない。
『キングコング: 髑髏島の巨神』は本当に「キングコングを出しました」というだけの映画で、歴代コングが持っていた悲哀や異形の悲しみが感じられないキングコング似の巨猿でしかなかったが、今回で初めて魂が入った気がした。
コングを巡る地底世界の冒険も甚だチープな代物だったが、ケバい色合いや、魑魅魍魎の怪物が説明なく襲いかかってくるあたり、ハリーハウゼンの諸作やケヴィン・コナーの『アトランティス』『地底王国』なんかを思い出させる。
なんだかんだガッツリ楽しんでしまった。
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