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アズミ・ハルコは行方不明の13のネタバレレビュー・内容・結末

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

良かった、ずっと観たいなと思っていたものなので、観ることができて嬉しい。
時系列が分かりにくかったことがマイナス点、でも結構好きな映画だ。
終盤までは観ながら、なんで失踪したんだ、てかこの男腹立つな、の気持ちがぐるぐる繰り返された。
男を襲撃する女子高生、イカしてる。
復讐というのは本当にそうだと思う。
フェミニズムというか、女性の訴えと言ったら大袈裟で、当然の要求だと思う。女として生きて来て感じるこの国の男性から女性へ向けられる違和感をよく描いてくれていると思う。襲われる危険にいつもさらされている女性、当然のようにセクハラする男性、愛想笑いで流さなければいけない女性、男女の賃金差、ババアとかビッチとかJKはセックスする上で最高だとか、女性に人権を感じさせない言葉を平気で吐き、性のみを搾取したがる男性…
でもすごく、すっきりするというか、全ての虐げられた女性がそれぞれ報われるような形で完結したところが良かった。嬉しかった。
物凄く田舎の人間、田舎の空気感が出ていて観ていながら地元を思い出してオエッとなるくらいだった。笑 狭い世界で男女が貪り合って生きているのって見てて本当に気持ち悪い…田舎出身だけど。田舎から早く出て行きたかった自分だからこその反応かもしれないけど。
女子高生集団、可愛かった。襲われるかもしれない環境で日々を生きたことの少ない男性には、女性の常日頃の恐怖からしたら女子高生だとちょっと足りないくらいかもしれないけど、良い復讐というか、身を以て体験させるにはやり返してみるくらいがちょうど良いと思っちゃった。だめだけど。
消える、行方不明になるのは本当にいいと思う。自分もそういう生き方を人生の岐路で度々取っていたけど、毎回それまでの呪縛が解かれるようだし、毎回それまでよりより良いステージへ進めて居た。女はその場で苦しむくらいなら、(相手を幸せにしようとしてるのに)自分を幸せにしてくれる人が周りに居ないんだったら、はやく消えちゃって、別の環境に逃げちゃって良いんだと思う。
脳内ハルコとアイナの最後の会話は良かった。アイナは若い女の子が陥りがちな思考回路で見てて胸が締め付けられた。弄ばれたのはしょうがないけど、女の子は全員幸せになってほしいよね、って思った。
しょうがないと言ったのは、男を見る目ないしすぐセックスするのは確かにマイナスだし、でもそれは男でもそうだし、そもそも男があんなクズじゃなければ良いけど若い男って大体あんな感じだしな…とかグルグル考えたから。
アイナもハルコも、好きな男を不器用ながらも愛して、必死に歩み寄ったのに、セックスして、利用されて、見ていて悲しかった。責任も取れない男が、付き合ってもない男が、女を大事にできない男が、女とセックスしちゃだめでしょ…。女も、そんな男とセックスしちゃだめ。
「優雅な生活が最高の復讐である」
本当にそう。私もアズミハルコのように、最後のあの笑顔のように笑えたらいいな、なんて思った。結婚とか出産とかまだ分からないけど、世の女性がみんなあんな幸せそうに笑えたらいいなと思った。
途中まで胸糞な展開が結構あったり、もどかしくなるシーンもあったけど、最後まで見て凄く好きだなと思った。もしまた観るならスカッとするシーンだけかな、女が可哀想なシーンは展開が分かってるのにまた見れないと思う。
蒼井優は流石、高畑充希もとても演技が良かった、というか演者皆演技が良かったな。
見終わった後、良かったな、いいな、私も良くなりたいな、みたいな、前向きな気持ちにさせてくれた。
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