こえ

ボンベイ・ベルベットのこえのレビュー・感想・評価

ボンベイ・ベルベット(2015年製作の映画)
4.7
IFFJ2016にて、6本目。
独立間もないインド。バルラージは路上でアウトローな日々を生きるうちに、ギャングの親方に見込まれて、その道に入る。そこでしか生きてゆけない男(映画ではチンピラと自嘲的に表現)の愛と悲しみの物語が、まだムンバイになる前のボンベイで、いっぱいに展開される。
「ボンベイ・ベルベット」はバルラージが支配人を任された高級倶楽部。そこの歌い手との過剰な愛が物語の全てだ。
ふんだんに楽しめる重量級のストーリー展開で、話の筋としてはすごく面白いんだけど、過去のこの手の映画をインドに置き換えましたって感じ。でも評価すべきはそこじゃない。バルラージ役のランビール・カプールの演技が本当に良かった。始まって早々、「いい目をしている…」と見惚れてばかりいた。チンピラとしてしか生きられない、そこに自らの存在を見出すしかない悲しい男の目。それがだんだんと切実さ、どうしようもなさ、重さを増し、破滅への予感を抱かせる目。目だけじゃないけど、彼の演技にはやられた。このままずっと実力派としていてほしい。彼の相棒やギャングの親方役の俳優も良かった。
ずっと緊張感が続いて、余計なことを考える暇を与えさせない、のめり込める映画だった。
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