ぺん

バジュランギおじさんと、小さな迷子のぺんのレビュー・感想・評価

4.6
国家と宗教で分断される人間同士が、ふとした触れ合いをきっかけにわかり合ってゆく。
脚本は、バーフバリの原作者でもあるヴィジャエーンドラ・プラサード氏。こんな国際問題に切り込んだヒューマンドラマも描けるなんて多才な人だ。

159分間、メッセージ性の強いストーリーを歌やダンス、笑いも込めて重くならず見せてくれる。
また言葉を発さない、シャーヒーダーちゃんの表情が豊か。彼女を見ているだけであったかい気持ちになれる。
またロードムービーとして観てもテンポ良く、パキスタン文化を知れて飽きない。
行く先々でパワンの全力の信仰心が、対立を煽るどころか問題を解決していく様は他の作品にないアプローチ。
ブレない信念があってこそ、異なる意見・宗教・文化を受け入れられる。こんな人がどれだけいるんだろう?現実は、敵対心を募らせる人間の方が多そうだから。日本人もそうだし。

また映画を観た直後、現実に印パでテロや空爆があったり、それを支持しちゃうサルマンカーンのツイートがあったりで、やるせない気持ちにも。
現実のサルマン氏はパワンと違って色々やらかす人なんだよな…良くも悪くもリアルは難しい。
それでも今作のラストは泣いて心を動かされたし、こういった作品が作られる意義はあると思いたいなぁ。
ぺん

ぺん