半兵衛

忍びの卍の半兵衛のレビュー・感想・評価

忍びの卍(1968年製作の映画)
3.0
鈴木則文×山田風太郎という奇抜すぎる組み合わせに期待してしまうけれど、まだアナーキーさを爆発させる前の則文作品なので意外とおとなしめで中島貞夫監督が既に作っている『くノ一』シリーズの流れを継承しているような作風に。それでも将軍の世継ぎを巡る忍者達のバトルを精子を壺に納めたり山本麟一が女になったりなど馬鹿馬鹿しい漫画チックな描写のなかに所詮偉い人の捨て石でしかない忍者の悲哀を仄かに込めて描くドラマには後年の監督の作風の片鱗も。

廃れてもさすが全盛期直後の東映時代劇だけあると感心するゴージャスなセットや、珍しい真理アンヌ(アンヌ隊員のモデルと言われる女優)の時代劇服装も見所。

ちなみに夏八木勲と桜町弘子がお互いに好意を抱きながら敵味方同士ゆえ争わなければならぬ忍者を演じているが、鈴木監督の師匠である加藤泰の『骨までしゃぶる』へのオマージュなのだろうか。
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