ルサチマ

大恋愛のルサチマのレビュー・感想・評価

大恋愛(1969年製作の映画)
4.4
『ヨーヨー』のラストで父が息子の再建した城から離れていくカットをカメラの身振りとして捉えていたことが、『大恋愛』ではカメラの移動撮影と美術装置の移動によって妄想世界へ転じていく応用になっているのがエテックスの作家性を考える上では興味深い。普通に面白いんだけど、カラーのエテックスになると、人物のアクションが入り乱れて笑わせる初期作よりもオーソドックスで分かりやすいすれ違い喜劇になっていて物足りなさを感じてしまった。それでもラスト、海から帰ってきた妻を、普段の装いとは違う出立ちで駅に向かいにいく主人公とそこでのすれ違いは感動したし、全員が痴話喧嘩する2人を黙って直視するエキストラや間違って飲み残しのあるコップを取り上げる店員の余計さあふれる身振り含めて、素晴らしい演出力を持った喜劇作家じゃないとできない組み立て方になってて嬉しくなった。
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