ルサチマさんの映画レビュー・感想・評価

ルサチマ

ルサチマ

炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

4.2

現代版『要塞警察』だが、やはりカーペンターのようにできる訳もなく、手際悪く過剰にリアクションと露悪的な凶悪描写を増している。とはいってもやはり題材自体の面白さで今年見たものの中ではまぁ悪くない方

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

2.0

全然良いと思えない。ほぼ同時期に撮影されたらしい『うそつきジャンヌダルク』の方が全然挑戦的で好感持てる(『愛と嫉妬のパンデミック』はジャンヌよりもっと過激だけどね!)。

運転免許証(1988年製作の映画)

4.1

あまりにアメリカ的な馬鹿馬鹿しさは面白いけど、主人公もその友人も最後もっとけちょんけちょんにされるべきだったし、そうでなくても先行に影に落として欲しい。ドラマとして主人公に落とし前をつけさせるというこ>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.2

確かに良い映画ではあると思うし、野心も感じられる作品であるのは認めつつ、ロウリーがなぜこんなにも持ち上げられるのかは未だ全然納得がいかない。冒頭の生き物たちを捉えつつ、奥の小屋が燃えたフィクスから扉の>>続きを読む

無人列島(1969年製作の映画)

4.4

被爆者である日出国という戦後日本の象徴としての少年が、修道女(アメリカであり、戦後民主主義の象徴)の傀儡として育てられ、『GOOD-BYE』で舞台となる韓国の人間が戦時下の日本人差別を批判する語りが記>>続きを読む

王国(1973年製作の映画)

4.0

『GOOD-BYE』を経て、あまりに抽象的になりすぎた今作については正直好みからは外れるし、やや語られるべき内容以上に語り方の方に過剰に意識が注がれている気がしてしまう。

GOOD-BYE(1971年製作の映画)

4.5

冒頭、失語症の少年がラーメン屋へ向かう過程が描かれ、庭先に立つ音頭をとるオヤジと少年、川沿いを歩く中年女性との印象的なすれ違いを収めた後、ラジオ体操の音楽が流れるラーメン屋の店員に注文を聞かれ、うまく>>続きを読む

ヤクザと地底人間(2006年製作の映画)

4.2

西部劇のようなロケーションで描かれたかと思ったドラマは地底へと移行し、わずか20分の中で時はすぐさま50年ほど経過したかと思えば地底人とヤクザの息子と娘が地上の廃墟と森へ復讐の旅に出る。終いには宇宙へ>>続きを読む

WONDER WALL(1980年製作の映画)

3.9

『眠れる森の吸血鬼』を経て、自主映画のカリスマにのし上がった植岡自身をカリカチュアして映画にした今作は、自伝的色味がありつつも、その世界観はやはり怪奇的で、奇妙な造形のキャラクターばかりが登場し、更に>>続きを読む

眠れる森の吸血鬼(1978年製作の映画)

3.8

70年代自主映画として、非常に美術的にもロケーション的にも凝った寓話としての怪奇映画になっている。感覚的には同じく70年代に独立して個人で映画制作をしていた金井勝的な色合いも感じる。もちろん植岡の場合>>続きを読む

私の骨(2001年製作の映画)

2.5

盛岡を舞台にしたホラーであり、個人的な親しみのあるロケーションを堪能できる部分もあるが、これはどうも面白くない。

色道四十八手 たからぶね(2014年製作の映画)

4.3

アテネフランセでの追悼上映にて。
清純に思えていた妻が密かに変態プレイを愛して、四十八手たからぶねを試みるべく義理の父と関係を持つという人間関係の設定は、その後妻が不倫を認めたところから次第に義理の父
>>続きを読む

ついのすみか(1986年製作の映画)

4.2

2回目 9月17日@ポレポレ座

併映されたシネ研時代の『鬼超のこと』は、市川市鬼越がひとつのロケーションとして選択されており、鬼越、おにごえ、おにこえ、ONIGOE…と言葉の音遊びを映画のモンタージ
>>続きを読む

刑事(デカ)まつり(2003年製作の映画)

4.7

『アメリカ刑事』鑑賞。わずか10分の短編とはいえ、これぞ高橋洋の最高傑作。アメリカを中心とした帝国主義のカタカナ英語教育の支配に革命を起こすという寓話的な題材でありながら、言葉遊びをペキンパー的な活劇>>続きを読む

ハーケンクロイツの男(1988年製作の映画)

4.4

高橋洋の最高傑作は『アメリカ刑事』だと思っているが、あの荒唐無稽なギャグの原点はシネ研時代の今作にも十分確認できる。屋根裏部屋での監禁シーンにはリヴェット的ともいえる3角関係のコミカルな攻守逆転が描か>>続きを読む

夜は千の眼を持つ(1984年製作の映画)

4.5

早稲田シネ研時代の撮影技術の高さに驚かされるが、なによりマブゼ映画としての品格を確保する若き西山洋一の存在にビビる。カナザワ映画祭で特別に上映された井川耕一郎の伝説の8mm映画『DELIRIUM』(こ>>続きを読む

ヌード・アット・ハート(2021年製作の映画)

4.0

恐らくミニDVテープで収録されたであろう画面の豊かさを再確認。最後の舞台を目前にした踊り子とスタッフたちが舞台裏の狭い廊下で忙しなく行き交う縦構図(このカットの序盤は画面奥でのやりとりが、後半では画面>>続きを読む

長い見送り(1971年製作の映画)

4.8

凄い映画だった。独特なテンポのカット割やカメラワークも全て母と息子、彼らのいる空間の周りの人々の芝居に内蔵されて生み出されたものだからこそ画期的だ。母と息子が対立する室内を母親にナラティブを委ねつつ、>>続きを読む

(2012年製作の映画)

4.3

「レウコとの対話」からの一篇。マーラーの音楽が全編黒味の画面の中で響き渡る。音楽が終わり、黒味からカラー画面が始まる瞬間へ緊張感が持続する。

水槽と国民(2015年製作の映画)

4.2

水槽の中の金魚を国家を持つ国民の表象として描く試みは、中盤で引用されるマルローのテクストの朗読に基づいて映画化されたものであろうが、1938年の段階で石田民三が茶屋を舞台にした『花ちりぬ』の冒頭で室内>>続きを読む

放浪者/浮浪者(2001年製作の映画)

4.5

『シチリア!』からの抜粋。こちらについては『シチリア!』舞台上演版との比較の中で検討すると、ストローブ=ユイレが舞台を元に映画化するにあたり、2人の位置関係をどのようなアングルで撮るべきか検討したのか>>続きを読む

研ぎ師/研ぎ屋(2001年製作の映画)

4.5

『シチリア!』からの抜粋のため、これ単体で見ても煙に巻かれるだろうが、『シチリア!』のメイキングと併せてこの短編を見るとその豊かさに快哉を叫びたくなる。ブレッソンのリハーサルが徹底的に繰り返され、モデ>>続きを読む

コルネイユ=ブレヒト(2009年製作の映画)

4.7

コルネイユとブレヒトのテクストの朗読光景が三度に渡り、それぞれのシチュエーションで異なるオフの音響と天候、服装によって変奏が描かれる。ブレヒトの様々な戯曲の中には繰り返し天候についての言及がなされてい>>続きを読む

La France contre les robots(原題)(2020年製作の映画)

4.5

暗くなりかけた湖畔を年増の男が産業と革命について語りながら一歩ずつ歩く様子をやや後ろから膝上のミドルショットでそれ以上被写体に近づくことなく一定の距離を取って捉える手持ち撮影は、溝口健二の移動撮影を彷>>続きを読む

あいつをよろしく(年製作の映画)

1.0

開始30分くらいまでは何かあるかもと粘ってみるも、どうも既存のイメージばかりしか描かれず、途中で見るの断念。藝大は映画制作に特化したカリキュラムが組まれているとはいえ、中身に向き合わずに無理矢理アウト>>続きを読む

はこぶね(年製作の映画)

3.9

所々杜撰さはあるにせよ、丁寧に物語っていく心意気がいい。盲目の男の触覚を描きこむことに神経を注いでいるのに対し、叔母やその他の人物が手触りへの目配せをしないことが際立つ(役者の女を例外として)。それだ>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

4.1

面白いけど好きになれねー。年々、人物のアクションに合わせてカメラが動くことに対して生理的拒否反応を覚えるようになっているせいもあるが、夫婦に亀裂が入る階段でのアクションのカメラポジションの選択に対して>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

5.0

再見。何度見てもこれぞ映画の頂点。こんなふうに空間を人々が正しく秩序を乱しながら行き交う様を最低限の(しかし自由な)カメラの動きで捉え続けていくミニマルさと演出された人々のダイナミズムさが両立されるこ>>続きを読む

危ない話(1989年製作の映画)

3.9

黒沢清のみ。CUREで萩原聖人を探す役所広司の動きの前触れが見れる。

ブラッド・ワーク(2002年製作の映画)

4.8

人工的な光の脅威が提示される冒頭から、ダーティー・ハリー4における人工照明を背負ったイーストウッドを想起するが、今作においてイーストウッドは人口の光から逃げるように、西陽を浴びる海沿いを歩く。説話的に>>続きを読む

トゥルー・クライム(1999年製作の映画)

4.8

アメリカ映画的男性英雄像の解体は一貫したイーストウッドの主題であるが、今作はとりわけその色合いが強いように思われる。大文字の政治に対する抵抗が使命であるかのように振る舞いつつ、もっと小規模な家庭やオフ>>続きを読む

ハッスル(1975年製作の映画)

4.5

空撮から始まる刑事ドラマの時点で嬉しいが、その後バルコニーに出たヒロインが室内へ戻っていく場面をわざわざカットを割って、2回空撮での寄り→引きを実践してみせるプロ精神にやられちまう。ドンぱちやる回数こ>>続きを読む

ピノキオ(2022年製作の映画)

4.2

ゴダールと青山真治亡き今、イーストウッド、ゼメギス、スピルバーグの三方の新作にしか現状興味持てないが、このCGだらけの演出の中に見せる確かなトム・ハンクスの存在感を確かに見せる手腕は流石ゼメギス。はじ>>続きを読む

刺青一代(1965年製作の映画)

5.0

再見。清順のベストであり、これぞ極北の大傑作。カメラポジションやライティング以上に中盤までの人物の芝居が細かくも大胆。女優たちの男をも凌駕する厚みある声の発声がなされる瞬間、シーンのモードがあっさりと>>続きを読む

女の香り(1968年製作の映画)

4.8

面白すぎて嬉しい。物語映画制作映画の中でもとりわけ複雑なレイヤーが幾重にも重なるにもかかわらず、これが滅茶苦茶面白い。これぞアルドリッチ!冒頭でヒロインが、自分が演じることになるかつての女優を投影され>>続きを読む

>|