ダラスでのパレード中、そこで起きた悲劇は20世紀を語る上でも重要な事件の一つでとなる。
言わずもがなケネディ大統領の暗殺である。
この歴史上でも極めてショッキングな現場に立ち会うことになったのが他でもない妻のジャクリーヌことジャッキーである。
そんな悲愴の瞬間から、様々な事象や立場の中で葛藤しながら葬儀に至るまでを現在・過去を行ったり来たりして描いているのが本作。
映画は死後に受けるインタビューを通した回想録形式。
ケネディ生前のあれこれと華やかな雰囲気とは裏腹の人間の黒い部分も表裏チラつかせており何やら不穏な空気だけは終始漂っていた。
ジャッキー自身にも彼女の周囲で起きたことや目まぐるしく変化する事象に怒り、哀しみ…と複雑な部分をこれでもかと噴出させ、一国の主人がショッキングな死を持って湧き上がる問題にも向き合いながらケネディを後世語り継ぐために一肌脱いだその大仕事には沢山のドラマが有り見応えと説得力に富んだ作品だった。
しかしながら矢張り特筆すべきはナタリーポートマンの圧巻の演技で、彼女の底力を存分に発揮した圧巻の演技だった。
歴史に名高いあのホワイトハウスの紹介(超有名なあれね)をしていた彼女、死と向き合っていた時の彼女、親としての彼女、ファーストレディとしての彼女、その多彩な表現だけでもしっかり見応えを感じれた。
名優ジョン・ハート演じる神父との関わり方が映画の中に於けるジャクリーヌの今後に色味を持たせるという意味においては重要な筈なのに、その辺りの展開が非常に読み解き辛く、強いては後半の淡白さを感じさせた。
衝撃の事件を別の角度からまたは違う知見で焦点を当てるというのはかえって物事を混乱させる事がある。
そこに整理すべき点と説得力まで持ち込むなければならないほどのこの事件が故に後半の展開力が弱かったかなと。
勿論、葬儀と暗殺のもっともエモーショナル且つショッキングな瞬間を後半に見せる事で映画を繋いではいるのだけれど。
力強い作品だったゆえにちょっと残念だった。