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シャイラクのKSのレビュー・感想・評価

シャイラク(2015年製作の映画)
4.5
イラク戦争によるアメリカ兵の死者よりも多くの人が亡くなっている事から、いつからかシカゴは"Chi-raq"と呼ばれるようになった事を土台にした作品。

Chance the RapperやNox Fortuneなどを聴いていると、Chi-Litesやカーティス・メイフィールドの流れを汲んでおり、ギャングスタよりもそうしたシーンが活性化しているように思うが、そのすぐ隣にはドリルと呼ばれる現在のギャングスタラップのシーンがCheif Keefなどを代表としてある。そうした状況下で作られたのが本作。

牧師の演説シーンでの訴えは、映画『素晴らしき哉、人生』で主人公が訴えていた事と同じであり、現在の資本主義社会の欠点を浮き彫りにする。

No Peace No Pussy!
何度も繰り返されるこの言葉。この言葉がこのような使われ方をしている社会であること自体が女性差別を内包している社会であることの証左になっている。そうした状況下で、平和(自分たちの権利)を勝ち取る方法論ではあるのだろう。ジェンダーバイアスを強化しかねない懸念はあると思った。

マーヴィン・ゲイの“セクシャル・ヒーリング”を引用したり、Chi-litesへの言及など、R&Bの楽曲が本編の中で使われている。
こうした楽曲は、その使われ方やその社会の状況により、聴こえ方、聴かれ方で、差別的な楽曲になってしまう危険性もあるなと思った。
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