ヒムロ

マジカル・ガールのヒムロのレビュー・感想・評価

マジカル・ガール(2014年製作の映画)
3.8
白血病を患う12歳の少女、アリシアは日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。
元教師で現在失業中の父、ルイスは娘のためにユキコの限定衣装を手に入れようとするが何と一点もので90万円、約7000ユーロもする。
盗みで金を作ろうかと宝石屋のショーウィンドウに石を投げつけようとしたその時、2階から女性のゲロがかかる。
金持ちの夫を持ちながら、精神が不安定な女性バルバラとの出会いが悲劇の始まりだった…。


後味の悪い映画として紹介されて居た本作だが、確かに一線級の後味の悪さだった。
スペイン産の映画だが、フランス映画のような隠喩表現や行間を読む事が求められるような表現が多く、苦手な人は苦手かもしれない。

非常に日本に造詣が深い監督が作っていると思われるのが嬉しいしすごい。
単に魔法少女を一つのフックとして使っているだけなのかと思いきや、題のマジカルガールとは魔法少女と魔性の女のダブルミーニングであると気付いて驚愕した。
ヨーロッパ圏では「魔性の女」の様な言葉は「ファムファタール」だと思うのだが、日本語の魔性と魔法使いの意味を理解してダブルミーニングにするあたりガチすぎる。
EDには「黒蜥蜴の唄」のカバーVer。
トカゲの部屋とはそういう意味かと調べてわかるぐらいのマニアックっぷり。

とにかくゆっくりと心情を伝えてくるようなカメラワークが美しく、見ていて苦しいような場面では「さっさと終わってくれ!」とすら思える。
一体全体バルバラのどこにそんな魅力があるのかは個人的にはさっぱりだったので、その辺が分かるような話だったらもっと良かった。
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