ひろくん

マジカル・ガールのひろくんのレビュー・感想・評価

マジカル・ガール(2014年製作の映画)
3.6
シュールでマジカルなミラクルを起こすハートフルムービーを期待してたら面を食らった。人生にミラクルとマジカルなし(マジックはあり)。
現実が鎮座し、段々と地獄と化していく画面に「つらいなあ…。」と漏らすばかりで、これが本当に情熱の国スペインの映画なのか?という、恐らくスペインの「今」って僕たちの考えるコテコテのスペイン像と違うんだろうけど、観賞後に行ったサイゼリヤで持ち込んだストロングゼロをグラスに注いで飲み会をしている初老のサラリーマンたちとそれを片付ける若いバイトという地獄をライブで目にして「地球の裏側も地獄」という絶望感にさいなまれた。不景気って嫌だなあ。本の量り売りというのも、頭の悪そうな店員しかり、また文明の破綻という感じがするし。「憲法の本は誰も読まない」とか。皮肉がきいてる。
しかし、トカゲの部屋では何が行われているのやら、想像もでき…ませんが、蝉の声で濁そうとしているのは笑ってしまった。
一番笑ったのは抱っこから説教までの流れですけど、あれ、コントかよ。あの辺とか全体の含みを持たせた「察する」という感覚って日本的な感じがするし、どれだけジャパニーズカルチャーから影響を受けているのか知らないけど、全体的に、長山洋子を除いても、日本人が外国人使って作りましたと言われても疑わないレベル。
ひとつ言えるのは、情熱の国スペインが、「歪んだ愛の形カタログ」を提示してきたというのはいかんともしがたい状況ですよ。
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