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海賊とよばれた男のIdeonのレビュー・感想・評価

海賊とよばれた男(2016年製作の映画)
3.5
主人公、國岡鐵造は若くして石油に目を付け、会社を大きくしようと、社員と一丸になって販路開拓をしていたが、戦前の日本では石油利権は官僚が握っており、新参者の國岡の事業を何かと妨害する。戦後も日本市場はアメリカの石油メジャーに支配され、國岡がそこに割って入るのは至難の技であった。それでも、日本独自のエネルギー産業の発展のため、國岡は新たな原油供給先として、危険を冒してイランへ向かうのだったというお話。
岡田准一が20代から90代まで、國岡鐵造を一人で熱演し、これまた、映画賞ものである。出光興産の出光佐三氏の半生が分かりやすく映画化されている。しかし、原作が、前作の永遠の0よりも長く、2時間半にまとめるのは、多少、無理があったようだ。鐵造を愛しながらも、身を引いていった妻の件や近藤正臣演ずる恩人とのやりとりは、如何にも説明不足でペラペラである。手際よく料理してあるが、どこに力点が置かれているのか分かりにくい平板で重厚感に欠ける作品になっているのは否めない。主人公の言葉で「熱が足りんのじゃ!」というのがあるが、まさに、映画全体がそういう感じだ。キャストはそれぞれ熱演していたが、ヒール役の國村隼が目を引く。韓国でも演技賞を取ったそうだが、いよいよ、円熟の域に入ってきたようで、うまさを感じた。
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