虎舞羅ーコブラー

トマホーク ガンマンvs食人族の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

4.3
「ブルータル・ジャスティス」など、“暴力の伝道師”との呼び声高いS・クレイグ・ザラー監督作品。

正直、このタイトルを見ただけではただのB級作品だと思ってしまいますよね。それがどっこい、中々良質な西部劇ホラーとして成立しているという作品です。
話は簡単。村の住民が八つ裂き・誘拐され、それが原住民も近づかない野蛮な民族の仕業と判明。四人のガンマンたちが救出に向かうが、事態は絶望的な方向へ…、というお話。
この作品のザラー監督が描く暴力描写は、中々エゲツないです。スプラッター映画の様に安直な血ブシャーー!なグロではなく、とにかく生々しくリアル。出血量もあまり多くなく、逆に「実際に人の肌を切ったり刺したらこうなる」という映像が強烈なイメージを焼き付けます。私も何度か刃物による傷を見ましたが、皆さんも切り傷などを思い浮かべてみてください。動脈が切れない限り、血はあまり大量にはでず、ヒリヒリした痛みがきますよね。この監督の描く“痛み”は、まさにそれなんです。そして、食人族による○人シーンや、傷口に…のシーンなど、思わず顔をしかめるシーンが盛りだくさん。
タイトルからは想像出来ないほどの豪華キャストと、決してB級とは言わせない緊張感と恐怖感、そして絶望感。前半はゆったりとしたロードムービー感を漂わせながらも、徐々に不穏な影を落としていきます。そして、後半からの絶望的バイオレンスの応酬。前半での四人の無駄とも思える会話が、いつの間にか彼らへの“愛着”へと変化し、絶望が何倍にも増して感じさせられるという皮肉な演出。タイトルだけでは想像出来ないほどの上質な作品である事を思い知らされました。

タイトルだけでは想像出来ない良作でした。興味があれば是非!