爆裂BOX

スネークトレインの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

スネークトレイン(2006年製作の映画)
2.9
メキシコ国境沿いからL.A.へと走る鉄道に、邪悪な魂が宿った無数の蛇が侵入。平穏な家族、しがないビジネスマン、麻薬捜査官等列車に乗り合わせた人々は襲われていく…というストーリー。
THE ASYLUMが「スネーク・フライト」に便乗して製作したモンスターパニックです。監督は「デッドマンズ・プリズン」のピーター・マーヴィス。
アルマとブルホのカップルは、家族を裏切って駆け落ちしたために際限なく無数の蛇を吐き出す呪いをかけられる。ブルホは彼女の呪いを解くべくL.A.にいる呪術師の叔父の元に向う為L.A.行きの急行列車に潜り込むも、アルマが吐き出した蛇が列車の中に逃げ出しパニックになる、という内容です。
「スネーク・フライト」もマフィアの殺人の目撃者を消す為に飛行機の中に大量の蛇を積み込むという大概無茶な設定でしたが、本作では家族に政略結婚させられそうになって駆け落ちしたら、呪いかけられて無数の蛇を吐くようになる女という気の狂った設定を採用してます。吐き出された蛇はアルマの体の一部らしく、瓶詰にして一か所に集めてますが、このヘビが逃げ出して人を襲います。このヘビに身体に入られた人も、緑のゲロ吐きながら蛇を吐き出すようになります。アルマ役の女優さんの苦しむ演技は力入ってて、緑のゲロ吐きだして、本物の蛇口から出したりと体当たりの熱演ですね。
登場する蛇は殆ど本物の蛇を使っているのはポイント高いですね。色んな模様の蛇がいたり、ドンドン巨大化したりするけど、呪いの蛇だから、で済ませれるのは実は頭いいのか?この蛇が人を襲うシーンは皮膚の中に潜りこんだり、その蛇取り出す為に心臓抉り出したりと結構グロいです。しかも老若男女分け隔てなく襲うので、余り可愛くない幼女がバクバク食われるシーンは中々に悪趣味でしたね。この監督は「デッドマンズ・プリズン」でも子供に容赦なかったなぁ…
ただ、この蛇たちが暴れ出してパニックになるのは終盤で、それまではどうでもいい乗客たちのやり取りや妙に長く描かれる人間同士の格闘等がダラダラと描かれます。麻薬捜査官と麻薬の売人のやりとりとかあんな終盤前にやる事じゃない気がするなぁ。しかも蛇関係なく殺し合って死ぬし。
また、登場人物に共感持てる人間がほぼいないです。主人公はアルマ第一で他の人間が蛇に襲われても関係ないわ!という態度で、割と親切にしてくれた密航者のオッサンも殴り合いの果てに列車の外に投げ落としたりするし、L.A.まで列車走らせるために無線機壊したり電話壊したりするし、一番クズだと思った。他の乗客も麻薬の密輸するバカなギャル二人や、それに目をつけて金要求して身体も要求する麻薬捜査官に運転手も運転しながらマリファナでラリってるし、えらいクズが集まる列車だなと思いました。まともなの車掌のオッサンと、アルマの幼馴染くらいか。バツイチビジネスマンと彼がナンパした女性もまともではあるけど影薄すぎて印象に残らないです。
ラスト間近で蛇を取り込んだアルマが巨大蛇になって列車を丸呑みするシーンは、CGのクオリティは酷いけどハッタリのきいた演出は悪くなかったと思う。その後の決着は無理やりすぎたけど。なんでお前も呪術使えるんだよ(笑)
まあ、酷い映画ではあるけど、THE ASYLUMの中ではまだマシな方ではないでしょうか。