TakamaruSuzuki

シティ・オブ・ゴッドのTakamaruSuzukiのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.5
スラムの「日常」を撮った作品だけあり、物語は淡々と進んでいく。
そこにルールや道徳なんていうものは存在せず、皆いとも簡単に人を殺し、そして殺される。

一人一人にスポットライトを当てながらストーリーが進んでいくため、オープニングカットでは「ただのチンピラども」にしか見えなかったのが、クライマックスで同様のシーンが登場するときにはその一人一人をいち人間として見ることが出来る。その辺の構成、映像表現も効いていた。

何より印象深かったのがラストシーン。
(多少ネタバレっぽくなるけど…)
一つの時代が終わり、人が、時代が変わろうと、システムそのものは何も変わっちゃいない。役者を入れ換えて、同じ悲劇が繰り返されるだけ…それは、スラムの悲しい現実を示すメタファーだった。
まだ年端もいかぬこの子達の中から、第2のリトル=ゼが生まれてしまうと思うと、切なく、やり切れない気持ちになる。
結果、鑑賞後に残ったのは途方もない「虚無感」でした。
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