石川

シティ・オブ・ゴッドの石川のレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
5.0
めちゃくちゃ好きです。
スラムは恐ろしい。そこでしか生きれない子供達。
生きるためには犯罪をするしかない。将来はギャング。麻薬と殺人が日常茶飯事の狂った世界。
真面目に生きることは許されないのだろうか。真面目に生きてる人もいるだろうし、どうやっても真面目には生きれない人もいる。貧困という環境には絶対に抗えない部分もあるのだろう。
主人公は幸運にも頭が良く真面目な子だ。そしてカメラと出会う。暴力ではなくカメラを選んだ。
このカメラ趣味の目覚めの持つ意味は、ジャーナリズムが大切と言いたいのか、健全な趣味が大切と言いたいのか、そこははっきりしないけどとにかくカメラとの出会いがとても重要だった。
この映画は始まった瞬間からカメラワークがめちゃくちゃかっこいいのだけれど、それに主人公の独白を添える形で物語は進行される。まるでジャーナリストのドキュメンタリーを見てるようで、スラム街の残酷さが生々しく描写されていて目を離せなかった。
街に蔓延る暴力に唯一対抗できるのはジャーナリズム、つまり趣味のカメラだった。ペンは剣より強しのように、この構図に普遍的で象徴的な何かを感じてとても良いなと思った。
これが事実に基づいた話だというのだから驚いた。
暴力に支配された街で、周りが皆ギャングになるような環境の中、流されずに趣味のカメラに没頭して自分の生き方を見つけた男の実話なのだ。
当たり前だが自分なんてこの街で生きていけない(笑)
歴史の事実として残酷な話なんていくらでもあるが、これほどに生々しくダイレクトに生と死を浴びる体験はもう衝撃だった。
なんかちょっとスラムを体験してしまったような錯覚がある、すごい!
石川

石川