521号

ある夏の記録の521号のレビュー・感想・評価

ある夏の記録(1961年製作の映画)
-
ここ数週間考えていることと重なる部分もあって、映画に対する意識が洗われる思いがする…。

カメラと演技、被写体の内と外、真実と虚偽、フィクションとドキュメンタリー、といった普遍の命題について、というか。

"…自然らしさは欠いていないが、自然そのものを欠いている。" シャトーブリヤン

ブレッソンが引用した上記の文に対して、この映画の返答やいかなるもの。

ギャグではないのだけど、この映画を少なくとも他人と並んでスクリーンで観れば、その人固有の映画に対する意識が顕れることになる、その人の潜在固有の映画に対する態度が引き出される、改めてそんな気がした。

撮る者も撮られる者も、観る者も、
カメラの視線に晒された時、またスクリーンの発光の受容を強制されたとき、
無防備になるか、演技で全身武装するか、
紙一重ながらも必ずこの二択に迫られる、と。

"未来における無限の眼差し" 濱口竜介

この若い言葉が回顧する原初の問い、問いに対する実践的な回答の映画。

シーンとしては、最初の街頭インタビューで拒否られまくるマルセリーヌと、岩肌をロープで降りる少女を促す男性のシーンが好きでした。

でも草月ホールけっこう寒かったよう…。
521号

521号