福福吉吉

笛を吹く男の福福吉吉のレビュー・感想・評価

笛を吹く男(2015年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
笛の楽士のキム・ウリョンは息子のヨンナムを治療するためにソウルに向かっていたが、病弱なヨンナムを休めるために山奥の村を訪れる。その村は外の世界との交流を絶っていたため、ウリョン親子を警戒していた。異様な雰囲気の中で村長が大量発生したネズミの駆除に大金を払うと話したため、ウリョンはそれを信じてネズミの駆除を行う。

◆感想◆
ストーリーがかなり特殊で、1950年代の終戦直後を背景に異常な村に訪れた楽士の親子に待ち受けた悲劇とその顛末を陰鬱に描いており、ウリョン親子が底抜けに明るいが故にその村の異常さが浮き出ていて印象的でした。

キム・ウリョン(リュ・スンニョン)は常に笑顔がこぼれる明るいキャラクターで息子思いの良き父親として描かれていますが、その一方で人を疑うことを知らないところが危うく感じました。そして、その息子のヨンナムも父親譲りの明るい子供であり、父親を慕っていて、とても良い親子関係を築いているように感じました。

ウリョン親子は外界と隔絶した村に偶然訪れたことにより、本作のストーリーが始まっていきます。最初から村には異常な雰囲気が充満していて、こんな村には絶対に立ち寄りたくない感じがしました。

本作はこの村の異常さとその原因である過去の出来事が肝となっており、ウリョン親子がかなり呑気に村での生活をエンジョイする傍らで、村長を始め村人たちがウリョン親子の排除に動く姿はとても陰湿で奇怪に思えました。

終盤の展開はかなり狂気に満ちていて、それでいて溜まった鬱憤を晴らすものになっていて、観ていて楽しかったです。

かなり毛色の異なった作品となっており、好き嫌いが分かれそうな作品ですが、私は普通に楽しめました。

鑑賞日:2024年1月17日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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