原作ファンとしては最高の出来だと思う。明日美子先生の漫画をそのまま切り取って動かしている感じ。
淡く美しい背景と繊細な音楽がその世界をさらに奥深いものにしていた。
ライブからの砂場のシーンが神がかってよかった。神谷さんと野島さんの演技が素晴らしく噛み合っていて泣いた。
特に野島さんのツンとした演技は全編通して最高だった。
ただ、良くも悪くも原作通りすぎる感じはあった。新しい発見はあまりなかった。
また時間に収める都合か空白部分もあり、佐条と同じくゲイである原先生の描写が薄かった。
もともとこの作品は同性愛の背徳的な要素の大部分が排除されている（と私は思っている）が、映像としてまとめられてそれがさらに抜けているように感じた。
そのためただの恋愛物語じゃないか！と思う人もいるだろう。
しかし彼らにとって普通のことである同性愛から生まれるなにかを求めすぎるのも違うと思う。
２人の青春が美しく輝いていて、まぶしい作品だった。何度も見返したい。
