ナガ

同級生のナガのレビュー・感想・評価

同級生(2015年製作の映画)
4.0
【シンプルとコンプレックス】

キャロルのレビューを書いた時にも少し述べたが、自分は基本に恋愛において性別は関係ないと思う。人が人を愛する。ただそれだけのこと。だからこそ本作を男同士の恋愛映画だなんて簡単に捉えてほしくない。この作品は純愛映画として青春映画としてもかなり上位に来る出来と言っていいと思う。

高校生という思春期の時期は非常にコンプレックスな時期である。恋愛だけではなく、進路や人間関係、心理的なことさまざまな面において子供から大人への過渡期でありそれゆえ複雑なのである。まず本作はそんなコンプレックスさが非常に上手く反映されていた。物語の前半は草壁目線の葛藤や心理が描かれる。しかし後半は反転し、佐条目線の葛藤や心理が描かれる。それぞれがとても複雑であり、なかなか上手くいかない。しかし最終的に2人が気づくのは恋愛感情というものがとてもシンプルであること。ただ会いたい、キスがしたい。そんなシンプルなことなのである。複雑であり単純な思春期の2人の恋愛模様が水彩画タッチの美しい映像でスクリーンに映し出される。予想外の良作であった。

炭酸が弾けるように爽やかな青春純愛映画である。ぜひ男同士なんてところで敬遠せず、多くの人に見てほしい作品だ!
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