ヨシオカ

ハドソン川の奇跡のヨシオカのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
5.0
THE・映画。
君の名は。やシン・ゴジラのように設定や展開に凝ってるわけでも無く、ただひたすら淡々と実話が描かれている。それだけ。

最高のタイミングで前世について唄う音楽が流れるわけでも、耳に焼き付いている戦闘テーマが流れるわけでもない。巨大人工星がいつものように爆発するわけでも、不死身で下品な不良が暴れるわけでもない。

それなのに、だ。
なぜこうも泣いてしまいそうになるのか。
ちょうど今くらい季節の、夕方の時間。いつもより広い空に細く伸びる雲が、西の方からの光でサァーッと赤からオレンジのグラデーションに染まって行くのを、澄んだ空気の中でじっと見ている時のよう。
そういう類の感動。

一人のベテランパイロットが、ある日から急に、いきなりテレビやら政府やらいろんな人から、「サリー」、「サリー」と呼ばれるようになる。英雄だと言われる。その中で、サリー自身は自分の決断は正しかったのかを思い悩む。

ただそれだけ。

このそれだけを、役者が完璧に演じ切り、カットも展開も完璧にこなし、音楽を含めた演出も完璧に無駄をなくしたら、こういう映画が出来上がるのか。。。

ひたすらに渋い映画だった。
久々に「映画観たなぁ」という気分にさせてくれる。
やっぱ原題の「SULLY」じゃなきゃダメでしょーー


"One fifty five?"
"...One fifty five."
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