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ハドソン川の奇跡のEDDIEのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.0
208秒の奇跡…機長は一夜にして英雄になったがそれ故の苦悩に悩まされた。イーストウッド監督とトム・ハンクスが初のタッグを組んだ実話作品。わずか96分の時間だが時系列を巧みに操り重厚な作品に仕上げているイーストウッドの手腕に拍手。

今年鑑賞した『リチャード・ジュエル』でも感じたことですが、一般人を主人公に立てて見応えのある作品に仕立て上げるクリント・イーストウッド監督の実力はとんでもないです。
しかも本作は、操縦のきかなくなった飛行機が川に着水し奇跡的に乗客全員が助かったという一文で済むような内容をとても見応えのある作品にしています。脚本の妙ですね。凄い。

これは巧みな時系列をバラバラにした巧みな演出により、同じ飛行機事故の場面なのに、視点を変えながら全く違う感じ方をさせるわけですからとんでもありません。

また乗客155人を生還させ英雄となったサリーことチェスリー・サレンバーガー(トム・ハンクス)は、果たしてその判断が正しかったのか、事故調査委員会の調査により一気に戦犯扱いされてしまいます。この辺りの展開はある意味『リチャード・ジュエル』と似ていますね。
ただクライマックスのシミュレーション映像を確認するシーンは、並の監督が演出すると物凄く退屈になりそうなシーンなのに、ここが実に見応えがあるのです!何度も同じようなシミュレーション映像を見せられますが、サリーの感情に訴える発言、彼の相棒ジェフ・スカイルズ副操縦士(アーロン・エッカート)の冗談で場を和ませる発言などでメリハリがついており、結果的に作品の中でも特に集中して見入ってしまうシーンとなっています。

何よりも一般人であるサリーの人間性を掘り下げ、ただの英雄として終わらせず、同じように人間として苦悩をしたドラマチックさが本作の見どころの一つと言えるでしょう。
Amazonプライムは作品終了後に特別映像として本人のインタビュー映像も流れますが、こちらを鑑賞するといかにトム・ハンクスの役作りが本人に近しいかがわかります。

※2020年自宅鑑賞220本目
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