フイヤードの連続活劇「レ・ヴァンピール」のリメイク映画を制作する現場を扱う、映画制作についての映画だった。ただ映画についてだけでは無く、リメイク元の監督の意志や、映画史や歴史を踏まえてどう映画作りをしていけばいいのかの様な葛藤が見える様な気がした。
イルマ・ヴェップ役にマギー・チャンが抜擢され、パリの撮影現場へ単身やってくる。フランス人ばかりの中、なかなか馴染めなかったがスタッフのゾエだけは優しく接してくれた。しかし、ゾエは他のスタッフからの評判が悪く、俳優をドラッグ依存にしてしまった過去があった。そんな中、彼女の事を恋愛対象として好きだと打ち明けられる。
一方、ジャン=ピエール・レオ演じる監督のルネは、撮影した映像に納得がいかなくて病んでしまう。そして、夜中に再編集し、試写を開くのだった。
ビュル・オジエやナタリー・リシャールなどリヴェット映画で見たことのある俳優が多くて見やすかった。何と言ってもマギー・チャンがいい感じ。「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイの様に戸惑いながらも、イルマ・ヴェップのコスチュームを纏うと、彼女が乗り移ったかの様にトランスする。
ルネ監督が最後に見せた映像が、生々しい何かを捉えているようで衝撃的だった。今まで撮影した映像が白黒になり、フィルムに傷を付ける形で色々な線や模様が交錯する。パンクな感じだった。