ー

火の山のマリアのーのレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
4.5
グアテマラに住むマヤ族の生活をグアテマラ出身の若手映画監督が浮き彫りとする社会派ドラマ。アカデミー賞外国語部門ノミネート作品(グアテマラ映画初)

知(言語力)と権力を持つものは常に優位な状況を生み出す。弱肉強食が自然と行われているマヤ族の現状を知ってしまうとやるせなさと怒りがこみ上げてくる。しかし、彼らの摘むコーヒー豆を飲んでいる一消費者として、全く関わりの無い世界の話では無いのだ。母と子の繋がりが日本では珍しいほど強く、母体と母なる大地を重ね合わせる構成はグアテマラ作品ならでは。

ワンカット目から鳥肌がたつ。少女の虚ろな目からこの物語がハッピーエンドではないことを悟る。

役者は現地のマヤ族の人たちで、演技経験を持たない。それなのにクライマックスの母親の表情は、とても演技には思えないほどの迫力があり、観ているものに訴えかける。

見終わったあとに泥々とするわけでもなく、切ないのにスッキリとした気分にすらさせてくれる。カタルシスのある映画だ。
ー