たむランボー怒りの脱出

ロートリンゲン!のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

ロートリンゲン!(1994年製作の映画)
4.0
5年ぶりくらいの再見。

いやはや、途轍もなくシンプルな画面がもつ「内面」(と、あえて言ってみる)の、この豊かさよ……。カメラが風景をぐるりとパン、ゆっくりゆっくりと移ろいゆく景色。
そこに立ち現れているのは、もはや絵画的な風景ではなく、ひたすら現実的な、触知的な風景というか、見る者がその風景の中に今まさに立っていると錯覚させるような何かである。
ストローブ=ユイレの風景画面は、環境画面という言い方のほうがより実感に即している。だから奥がある。内側に行ける。
全方位に向けてパンしていくカメラはパノラマといっても見世物としてのそれではなく、ひたすら素朴な方法で「世界を立ち上げていく」表現なのだな、と再確認。

このゆっくりしたパン、僕も愚かにも試しに自主映画で真似しようとしたことあるけど、このゆっくりさ加減が全然上手くいかず、ガタガタしたり速度が保てなかったりして丸っきしダメだった。まあ、そういう機材とか探せばあるんだろうが、機材のこととかは全然知らない。