カコはミライを求め
ミライはカコを求める。
カコは今がつまらなくて仕方ない。
何か面白いことを、何か楽しいことを、と普段の気だるげな様子からは想像もできないくらい熱望する。
でも結局手に入りかけると嫌になる。怖いのだ。先の見えないものは怖い。でも今のままもつまらない。息苦しい、退屈だ。
ミライは今がつらくて、忙しなくて、落ち着きたくてカコの思い出に浸ろうとする。
生まれ育った故郷に戻って、実家に帰ってみる。
でも思い出はただの記憶でしかない。
すべてのものは時が良くも悪くも変えていくし、思い出と同じカコは存在しない。
どちらもないものねだりなのだ。
カコはミライを手に入れられないし
ミライはカコを手にできない。
けれどどちらも一歩踏み出した先に
ちらちらときらめく何かを見つけられたような気がして、悪くないなと思った。