ララン

Sommのラランのレビュー・感想・評価

Somm(2012年製作の映画)
3.5
『Somm (ソム)』:ワインソムリエの略

マスターソムリエはソムリエの最高称号。
40年間で取得できた人数は世界で僅か170人。
そのマスターソムリエを目指す受験生のラスト3週間を追うドキュメンタリー。

味や香りの表現はもとより、葡萄の品種に色に濃度、国に地域に土壌に歴史に年代ごとの特徴に、葡萄の病気に育て方、それからラベルを読み解くための言語まで、あらゆる知識と五感を研ぎ澄ませてワインを見抜いていく。
資格取得に必要な知識数がとんでもない量なのがよくわかる。
彼等は難関資格取得のため、パートナーそっちのけで生活のほぼ全てをワインに捧げる。

特に多くの人が憧れる流暢な味や香りの表現は、ある程度表現に定型はあるものの、ここまで豊かに表現して良いものなのかと笑えてしまう表現が映像に多々あり、私自身のワインの楽しみ方が少しひろがった。

だって、おばあちゃんの箪笥の香り、ゴムホースの香り、枯れたスミレ、腐った動物の皮、カビの香り、テニスボールの開けたての香り!なんて大真面目に表現する世界ですよ?笑!
もちろんそれは彼等ソムリエが、そのワインを表現するために日々様々な物の香りや味に触れて試して表現のストックを増やしていく地道な作業の先に見つけ出したワインを伝えるための最適解なわけですが。

日本ではまだワインはカッコつけた飲み物のイメージが強くて、知識層ぶるために飲むような側面が否定できないけど、もっと自由に楽しみながら飲む文化がひろがるといいな。

なお、テイスティングの85%は嗅覚によるものだそう。
マスター合格者はすぐにワインブランド立ち上げやワイン大使など次々とお仕事が舞込みステップアップしていく姿も触れられていて、いかに権威と信頼ある資格かがわかった。
ワインが飲みたくなるドキュメンタリーだった!


*好きな台詞*

「今のワインにはドラマが要る。そのドラマを伝えるのが仕事。ブランドやラベルじゃないんだ。」

「競馬場で馬券を買う手伝いをするようなもの。ワインは賭けだからね。10ドル賭けたり100ドル賭けたりね。そんな時誰かが"あの馬と騎手は良い"と教えてくれると嬉しい。ソムリエも同じさ」
ララン

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