アレク

ジュラシック・ワールド 炎の王国のアレクのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まあいつものですねって感じの映画。伝統に則っているといえば聞こえはいいが、展開が読めてしまってつまらなく感じるところもある。私は楽しめた。マルコム博士随分老けたね…懐かしい。シリーズ屈指の黒歴史と名高い2だけれど、いっそコメディとして私はあれ結構好きなので、マルコム博士とまた会えて嬉しかった。無印のときから数学者にしてはできた身体と、未来を見通せる落ち着いた視点を持っていて、その時点で既に警鐘を訴えていたのを思い出すと感慨深い。こういう識者の声を無視するからこうなるんだよなあ…最後の「ジュラシックワールドへようこそ」は鳥肌もの。

ただ正直な話、今回の主人公らの傲慢で自分勝手な憐れみが目に付いてきつかった。火山の噴火のような防ぎようのない自然現象やそれに伴う二次災害は人間が手を出していいものじゃないというのが私の考え方だったため、絶滅から保護しようと奔走する彼らを見ても滑稽だと思えて仕方なかった。お決まりの展開で噴火に巻き込まれるし、偉い人は金のためにまた恐竜利用しようとしているし…なんというか、自業自得とまではいかないが、燃え盛る正義感を胸に行動する前に、もう少し冷静に状況を調べたりしてはいかがなものか。
とくに最後の展開は納得出来ない。一度ボタンを押しかけて、出来ないと止めたヒロインを見てああ強い人だと感動した。愛する彼らの命の罪と責任を背負って、自分が属する種族である人間を守るという選択ができる素晴らしい人だと。映画冒頭で馬鹿みたいに恐竜に執着して、絶滅から救いたいんです!と叫んで、そのあたりは全く感情移入も何も無かったが、そこまで愛情を注いでいたのを知っているだけに、彼女のこの選択は本当に辛いものだっただろうと胸に刺さった。
だというのにあのクローンの少女の暴挙はなんだ。子供だからと言って許されていいのか。このさき数百、数千、下手したら5桁にのぼる死傷者と、目の前の死にゆく恐竜…に重ねた自分を天秤にかけ、自分を選んだのだ。賢い子だと思う。状況把握に長け、大人の悪巧みも見抜き、行動力もあり、クローンという言葉の意味やそこに含まれる侮蔑も理解するのはそうとう大人びていると思う。でもそんな彼女が恐竜という未曾有の危機を前にベッドに逃げ込んでしまうあたりすごく可愛いし守ってあげたくなった。でも本当に、最後のはいただけない。周りの大人もそうだ。彼女を止めるべきだったと思う。

でも恐竜はよかったと思う。ジャングルを背景に迫力の恐竜バトルこそなかったものの、今回のラスボス枠は賢すぎてどう倒すのか不安になったし、あの緊迫感と達成感はそう出せるものではない。前作に比べて小さいとか倒せそうとか…まあ、それは仕方ない…

自分映画の中の火山の噴火シーンがかなり好きで、まあ今回もパニック系あるあるの似非噴火ではあったけれど、大爆発と大噴火と走る主人公&恐竜と、彼らが逃げられるいい感じの速度で襲い来る火砕流。とても良かった。噴石や一瞬ガスに飲まれるシーンのようないつものも見れたし。様式美って感じで本当によかった。
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