享楽

ミュージアムの享楽のレビュー・感想・評価

ミュージアム(2016年製作の映画)
4.7
秀作。予告編から読み取れる雰囲気は偏奇殺人事件の主犯者カエル男にハードボイルド風な刑事の小栗旬が巻き込まれ愚弄されるといったサスペンス。鑑賞。なるほど家族への贖罪が彼のインセンティブの大半を占めていたか…と。
サスペンス劇として伏線はわかりやすくそして回収が早い。余計なギミックやレトリックがない。前半部から後半部にかけて、敏腕刑事である沢村が徐々に感情的にカエル男を追って行くプロットが面白過ぎる。家族が巻き込まれたと判ったあの瞬間から彼は刑事としてではなく1人の家族を持つ人間として動き始める。そしてカエル男の不透明さが明るみに出てくる構造。典型的な見世物的表現、例えば沢村が刑事のバッジを捨てたりカエル男が下したバツゲームのハンバーガーの肉をわざわざ挽いていたりする場面などはあるが気には障らない。強い雨の日がわざとらしく連続するが最近はこういう設定でも非現実味がどうこう言うのも勿体なく感じてきた。後半発狂した沢村がカエル男を追い回すあのシーンはカタルシス大。しかしあの締め方はゾッとする。ゾッとするがそれを楽しく思ってしまう自分に半ばウンザリしてしまう、そういう愉しさのある一作。
享楽

享楽