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偉大なるマルグリットのperoのレビュー・感想・評価

偉大なるマルグリット(2015年製作の映画)
2.5
音痴の映画と聞いて他人事じゃないと思い見てきました。
私の実家、石川家は家族全員音痴の呪われた家系です。けれど私は20歳くらいまで自分の音痴に気がつきませんでした。音痴とは人の反応があって、始めて成立するのです。一人で気持ちよく歌っているだけでは気づきません。
音痴は不死の病です。それを聞いた人の反応は様々、苦笑いする人、お腹を抱えて笑う人、怒り出す人、気分が悪くなる人。音痴は伝染病のように人の感情にダイレクトに伝わります。
この映画の主人公マルグリットは音楽愛好家で、芸術の擁護者。自宅のサロンで第一次大戦の孤児の募金活動のために音楽会を開き自分も歌うほど。けれども、奥様は音痴だったのです。それが本人にわからなかったのは彼女が男爵夫人でお金持だったから(けれど、爵位は後からお金で買ったもの…この辺がミソ)。彼女を偉大なる歌手のように周りも扱っていて彼女もすっかりそのつもりに…大きなオペラ座の舞台に出ると言い出す始末。それを止めたい彼女の夫は…1920年代の退廃的なパリを明るく歌い抜けるマルグリッドは幸せになれるのか?
マルグリッドのモデルには本当にいたアメリカのソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンス。自分の才能を信じ続けカーネギーホールの舞台に立った音痴の女神。 100年前の彼女の歌声を是非Youtubeで聞いてほしい。幸せになれるから。そしてそれを再現したカトリーヌ・フロの女優魂にブラボー!!!
わたしもそろそろオペラに手を出そうかな。
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