半兵衛

傷だらけの天使の半兵衛のレビュー・感想・評価

傷だらけの天使(1997年製作の映画)
3.2
『傷だらけの天使』と銘打っているくせに主役二人のキャラはそのままなのに名前は変えているという小賢しいことをしているのが気に入らないし、トヨエツがショーケンのキャラを無理して演じるあまり自分の個性を押し殺してしまっているのが見ていて恥ずかしかったが何より70年代のノリをまんま90年代にやろうして色々スベっている残念な作品に。やはり時代と萩原健一という個性があってこそあのドラマが成立したんだよなと改めて痛感する。

でも水谷豊とは違うダメな弟分キャラを生き生きと演じる真木蔵人の軽妙さや裏社会に生きる宇崎竜童や三浦友和の好演がドラマとは違った魅力をもたらしているし、何よりヒロインの原田知世が超絶的に美人過ぎて見とれてしまった。

そして個人的に大きく惹かれたのが主人公が子供を母親に届けるため旅する東北の風景だったりする、自分が東北にいたときの宮古や八戸、七戸、青森の景色がそのまま映像で出てくるのに感動するし結構色んなところでロケしているので本当に帰ってきたような気持ちになる。あと全盛期のみちのくプロレスが出てくるのも高ポイントだったりする。

そんな旅路の果てを締めるのが東北出身でかつて『傷だらけの天使』でショーケンが息子の名前につけているほど好きだった菅原文太なのが嬉しいサプライズ。大スターが馬に跨がっている姿といい子供と二人の別れといい『クライ・マッチョ』を思い出して悪くなかった。

でもそこからオチが見えているのにダラダラやっているのがモヤモヤしてしまった、いらない小ネタばかりのドラマをバッサリ切って結末に持っていった方が後味が良かったのでは?でも青森の街中を歩く原田知世のこの世のものとは思えない美しさは感動したけどね。
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