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パラダイス・ロスト2:レベレーション(原題)
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『パラダイス・ロスト2:レベレーション(原題)』に投稿された感想・評価

4.4
・ジャンル
ドキュメンタリー/クライム/社会派

・あらすじ
1993年、アーカンソー州ウェスト・メンフィスの森で発生した8歳の男児3人の殺害事件
容疑者とされた3人の少年は服装や音楽の趣味、交友関係を根拠にほぼ証拠も無いまま偏見によって有罪判決を下された
1人が死刑とされ、2人が終身刑となったこの裁判を扱ったドキュメンタリー作品「パラダイス・ロスト」
同作の放送後、人々の反応は二分された
しかし、杜撰な捜査や不当な裁判に怒りを覚えた者も多く、全米規模の支援団体が創設
本作は5年の時を経て、主犯とされた青年ダミアンの再審を申し立てる為の聴聞会を軸に、同団体と共に改めて事件と裁判を検証した続編である…

・感想
1993年にアーカンソー州ウェスト・メンフィスで起きた3人の男児の殺人事件を巡る世紀の冤罪として有名な裁判を記録したHBO製作のドキュメンタリー作品の続編

シリーズ1作目の時点で警察及び検察、判事、そして遺族に至るまで物的証拠はおろか状況証拠も無いに等しい状態で偏見や印象操作、誘導尋問と長時間の拘束による虚偽自白、一方的に決め付けての糾弾などに及ぶ極めて理不尽な現実が映し出されていた
その看過し難い裁判とその過程での町の世論や風説はそれ自体が事件と言って差し支えない物であった
こと刑事司法制度の杜撰さというのは現代では最早、常識レベルで知られている物だが、容疑者=犯人とする様な世間の見方というのは今もそう変わらない
一度、犯罪者と見做されると一挙手一投足が偏った目線で解釈されるという大衆の愚かさも解消されていない
それ故に本シリーズの様な作品は公平且つ公正、現実的で合理的な物の見方を人々に共有させる一助として非常に有意義な物である事は間違いない

事実として前作において、偏見の源泉とされた主要な容疑者ダミアンの口にした言葉が露悪的な物として取り沙汰されたという出来事はまさにその好例だと言える
あらゆる言動や行動が悪い方に受け取られた結果のこの出来事は裁判の悪質性と地続きにある
それは彼らがクロであったとしても許される事ではない
背景への理解や情状酌量が阻害されれば、真っ当な検証や断罪は成り立ち得ない為である
そして今作でも容疑者3名とは逆に被害者遺族達は“暴力的”を超えて猟奇的なまでの言動が許されている様子が見られる
面白いのは特に過激さが見られた犠牲者の継父、マークが見事にそのしっぺ返しを喰らっていた事
一方的に何の配慮もされず、疑いの目を向けられる痛みを彼は追体験する羽目になった訳だ
ダミアンが何の非もなく苦しみを味わされてきたのに対し、彼がどこまでも自業自得であったのは皮肉な物で不謹慎だが笑えてくる
事件の真相はどうあれ、それとは無関係に数々の罪を犯していた事が決定的な証拠と共に報じられていたのも傑作だった
やはり妻のメリッサ共々、怪しく感じていた自分の目に狂いは無かったなと

だが事件が自身の犯行と疑われても尚、彼の振る舞いが変わる事は無かった
容疑者3名の支援団体をシリアルキラーのファンクラブ呼ばわりし、真相解明を目的とする彼らに“責める相手を探してるだけ”という言葉をぶつける
これもまたブーメランであり、遺族達こそ溜飲を下げる為に手近な容疑者を叩く事で腹いせにしていた様にしか見えなかった
更に言えばマークに関しては必死になる程に怪しさが増し、罪を逃れようとしているだけなのではとさえ思えてしまう
自身も金を受け取りながら、支援団体が資金集めの為に製作したTシャツにイチャモンを付けていた俗物ぶりや、ダミアンにも指摘されていた演技がかったアピールやパフォーマンスなどは特に滑稽で病的なナルシシストにしか見えなかった
3人の偽の墓を立てて燃やす場面はそれこそ“儀式”的だったし…
それでも今作に出演もしなかった存命の遺族達よりはマシだと考えられなくもないが…

ただ彼はまだ真犯人でなければ嘲笑のネタ程度の存在でしかないが、腹立たしかったのはやはり司法側の人々
判決を読み上げる辛さを語り同情を引こうとしていたが、実際には裁判中に頬杖を付いてダルそうに話を聞いていた上に検察の印象操作にも静観していたバーネット判事
自分自身をも騙すかの様に捜査の正当性を主張し、裁判後には逃げる様に退職したギッチェル元警視
問題は3人が犯人か否かだけではなく、彼らがまともに職務を果たさなかった事なのだから真実に関係なく、この2人や検事などには重大な責任があるという事実を免れる事は本来ならば出来なくて当然だろう

救いはと言えば事件発生から間も無い頃から、裁判を追った前作が注目を集めた事
それを観て憤りや違和感を覚えた人々が支援団体を創設し、ネットを通じて全米規模にまで活動を広げた事
たった1人だが裁判から今作の製作時に至るまで、3人に正義で報いようと動き続けていたダン弁護士の存在
これらが重なって、力強い専門家の助けを得て事件自体の再検証が行えた事
この4つくらいの物だろう
辛いのはこうした助けが得られたという点で本件の容疑者とされた3人は冤罪被害者の中でも幸運な方であるという現実だ
時代がもう少し前であれば、彼らは誤解されたまま死刑や終身刑に服していたかもしれないのだから…

今作は前作から引き続き、本来であれば警察や司法がすべきだった事を代わりに行なっていた
それに対して彼らは恥を感じなかったのだろうか?
その最中でダミアンが告白した自分の身に起きた出来事やメリッサの不審死を巡る謎、当局の圧力を匂わせる展開など新たに深刻な問題も起きており、正義という物が見進める程に信じられなくなってくる
確固たる証拠が無い状態でマークを真犯人と決め付けたまま、作品が終えられた事もまた如何な物かとは思うが…
とは言え、この時点では彼に疑念を抱くのに十分過ぎる情報が積み重なっていたのは事実
彼が立ち止まる事無く3人に罪の責任を押し付け、脅迫めいた行動を取り続けていたのも事実
なので安易に全肯定は出来ないが、“偏見”という物の恐ろしさを考える作品としては前作と同様に意義深い内容であったと思う
コイツが犯人に違いない!と思わされてしまう作り方
物事を客観的に見るのは難しい…